どきどきあまあま



銀さんに告白をされてから三日も経とうとしているのに、俺は銀さんと顔を合わせることが出来なかった。
銀さんと付き合うことに抵抗はなかったし、寧ろ嬉しいくらいなのに、これまでの銀さんとの関係が壊れてしまうんじゃないかと俺はなかなか銀さんに会おうとは思えなかった。
俺は、久しぶりに借りることのできたアパートを丸三日出ていない。
下手に町に出れば、銀さんに出くわしてしまうだろう。

「どうすりゃいいんだまったく…」

恋をすることなんてハツ以来だし(ちなみに、ハツとは別れた)、どうしていいかよく分からない。
やっぱり会いに行った方がいいのだろうか。
ううん、いやでも…
そんなことばかり考えて三日が過ぎていったのだ。
そして、四日目である今日――――

「今日も会えないんだろうなあ」

ごめんな銀さん。
会いたいのに、俺の勇気がないせいで。
そう思っていたそのとき、
ばん、とドアが開いた。
ヤベェ、鍵閉めるの忘れて――――

「………銀、さん」

鍵のことがふっ、と頭から消えた。
自分の目の前に、愛しい恋人が現れたのだから。
銀さんはぜえぜえと息を切らしながら俺の許可も得ず無理矢理上がってきた。
どかっ、と俺の横に腰を下ろし、

「アンタ……こんなとこにいたのか……探すの手間取っちまったぞコノヤロー」

「え、あ、ごめん」

「いくら経っても会いに来ねーから…来ちまっただろーが」

「いや…だってよ、」

「だってもクソもねえ。俺の息子が限界迎えてんだよいい加減にしろこの……マダオが!!!」

「なっ何言ってんだよ!?気持ち悪っ」

「るせー」

ゆるりと、それでいて力強く銀さんは俺を床へ押し倒した。
ぞくり、と悪寒が走る。

「ぃや…っ銀さ…!」

「………」

銀さんが獣のような目で俺を見る。
今から何をされるんだ、
いやだいやだいやだいやだ、

「怖い……っ」

無意識のうちに呟いていた。
するり、と銀さんが俺を引っ張り上げ、抱きしめた。
思わず、ぼんっと音を立てて顔が赤くなったような錯覚に襲われた。
顔が、熱い。

「銀さん、?」

びっくりしながらも声をかけると、銀さんが小さな声で返した。

「悪ィ」

「え」

「俺、…こんなに人を好きになったのは初めてでよ…どーしたらいいか分からねーんだ…」

ぎゅ、と銀さんの腕の力が強くなる。

「怖がらせる気はなかったんだけどな……悪ィ」

「…銀さん…」

大丈夫だよ、という言葉の代わりに、優しく抱き返す。
どちらからともなく体を離すと、ばちりと目が合った。
ええと、この空気は、やっぱり、
俺は少し躊躇いつつも、きゅっと目を閉じた。

「長谷川さん…」

銀さんの甘ったるい声が耳にかかった。
そして、銀さんの薄い唇が押し当てられた。
ちゅ、と音を立てて、すぐに離れる。
目を開けると、珍しく顔を真っ赤にした銀さんがいて。
つられて顔が赤くなった。

「ええと、」

「うん、」

「触ってもいいですか」

「……なんで敬語?」

くすくすと笑うと、銀さんは真剣な顔をして、少し前のめりになった。
反射的に後ろへ下がると、背中に壁が当たった。
追い詰められた。
が、

「大丈夫だ。怖くねーから」

怖くない。
そう、銀さんを見つめる。
銀さんは一度、う、と戸惑ったものの、すぐに覚悟を決めてそっと俺の体に触れた。
くすぐったい。
けど、あったかい。

「ん…銀さん…」

「はせがぁさん、」

銀さんが俺の腹筋やらなんやらを撫でながら、軽いキスをたくさん降らせていく。
首筋、鎖骨、
そして唇にも。
銀さんからの熱に浮かされてぼうっとしていると、ぬるり、と銀さんの舌が差し入れられた。

「ん…っん…はふ」

すぐさま舌をからめ取られ、なんとか息をする。

「ふ、ぁ…ぷは」

銀さんが俺から口を離し、優しく笑って、

「長谷川さん…愛してる」

そっと呟く。

「俺も、」

ぐうううう。
言葉を返そうとしたところで、俺の腹が鳴った。
まったく、空気の読めないやつめ…って俺の腹か。

「晩飯食おうぜ、長谷川さん」

銀さんがいたずらっぽく笑う。


「続きは、今夜な」




ばーか、分かってるよ。












***

はい!
というわけで付き合いたてぐだぐだべたべた銀マダでした〜


こいつらはベタベタさせやすい(笑)


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