テイクアウトでお願いします


「酒だ酒っ!酒持ってこいやババアっ」

「まだまだ足んねーぞおおっ」

俺は長谷川さんと、ババアのスナックで酒を飲んでいた。
というのも、昨日依頼された仕事の報酬が、思ったより高かったからである。
依頼人はそこそこの金持ちだったらしく、俺だけでなくぱっつぁんや神楽にまで大金払っていきやがった。
つーことで今その金を酒として消費しているわけだ。

「飲みすぎには注意しなよ、アンタら」

言っても無駄だろうけど、とババアが付け足す。
はいはい、と返事をして、楽しそうに飲む長谷川さんを見る。
長谷川さんは俺の視線に気付くと、へら、と笑った。
酒が回っているのか、顔が上気しており、真っ赤だ。
可愛いなあこの人は。
つくづくそう思う。

「悪いなあ銀さん、奢ってもらっちまって」

「いいってことよ」

俺はアンタの笑う顔が見てーだけだから、と言うと長谷川さんは更に顔を赤くする。
可愛い。

「銀さ、ん…俺の顔見ておもしれーのか?」

長谷川さんが不思議そうな表情をする。
俺はそんな長谷川さんの頬に手を宛て、

「おうよ、今だってアンタ、すげー可愛い」

「ば…ッ」

「ちょいとアンタら」

ばか、といいかけた長谷川さんに割って入るババア。
チッ。

「んだよ、ババア…せっかくいいとこなのによお」

「そんな色事、店でやらないでおくれよ、客が困るだろう?」

煙草の煙を吐き出す。

「…しょーがねーなあ…じゃ、長谷川さんテイクアウトで」

「このマダオはタダだけど酒の金はきちんと払っていきな」

「わーってるよ」

カウンターに適当に金を置く。
少し多目に払っちまった気がするが気にしない。
長谷川さんが「俺の価値ゴミ以下!?」とか言ってる気もするが気にしない。




長谷川さんを引きずって、万事屋に連れこむ。
新八と神楽は、もらった報酬で出掛けてるからいないはず。
中を見回すと、案の定誰もいない。
そして今は夕方。
神楽が帰って来るまでおそらく三時間はある。
酒のせいでくらりと視界が歪んだが、まあそのうち治るだろう。
長谷川さんをソファへ押し倒す。

「ちょ、銀さん…酔って、」

「ああ、酔ってるさ」

「まさかヤるんじゃ」

「あたりめーだろ」

「まだ夕方!」

「いいじゃねーか、夕日が差し込む中ヤるなんて粋だろ」

そう言って、長谷川さんの唇を塞ぐ。
長谷川さんが短く声を上げる。
ぎゅ、と着物を掴まれる。
そういう仕草一つ一つでさえも可愛くて、
ああもう、と思う。
俺の股間にどストライクしてやがるぜ…ってなに言ってんだか俺は。

「…ぁッ…ふぁ、っ」

「……っ」

長谷川さんが小さく喘いだ。
唇を離し、抱き締める。

「銀さん…?」

「はせがぁさん可愛すぎ…」

「え」

「アンタほんと可愛いよ…顔も声も仕草も性格も話しかたも俺への態度も…全部可愛い…」

「な、…いきなりんなこと言うなよ…」

「恥ずかしがる長谷川さんも可愛い」

「う…」

「…大好き」

「…うん」

「愛してる」

「…うん、……俺、も」

俺の腕の中で顔を真っ赤にして呟く長谷川さん。
だから、こういうとこが可愛いンだよ…!
……俺はどうやらこの人に心底酔っちまってるらしい。

「つーわけで長谷川さん」

「?」





テイクアウトでお願いします。








***

テイクアウト=お持ち帰り

↑念のため。

ていうかむしろ私が長谷川さんテイクアウトしたいよ…

長谷川さんが可愛すぎて死にそうな銀さんな銀マダが好き

- 8 -
[*前へ] [#次へ]
戻る
リゼ