Twitter140字SSまとめF
9/8〜10/7

9/8【カレーパンの日】
「今朝はベーグルだって言ってなかったか?」寝起きと重力が相まってジョンの声もテンションも低い。低いというより不機嫌そのものだ。「いや…昨夜のカレーが余ってたから…。それに今日はカレーパンの日で…」バージルはしどろもどろに答えるもジョンの無言の抗議は続くのだった。 #140字SS@365

9/9【ロールケーキの日】
「スコットが疲れてる。相当ヤバイ」ゴードンから報告を受けたバージルは思わず足を止めた。「ロールケーキの日だから、おやつに持っていったんだ。そしたら…」ゴードンはスコットの部屋を振り返る。「周りから剥がして食べ始めたんだ」「…相当キテるな」バージルの頬がひきつった。 #140字SS@365

9/10【イカの日】
「今日はイカの日!全てのイカに感謝と尊敬と祈りを捧げる日!ついでに僕のイカセンサーにも!」朝から力説するゴードンにアランは引き気味に、スコットは微笑ましそうに、バージルは聞こえなかったふりでパンを食べる。「イカと一緒に沈んでれば静かでいいのに」とジョンの声が響いた #140字SS@365

9/11【公衆電話の日】
「スコット迎えに来て」終電を乗り過ごしたゴードンからSOSが入る。公衆電話からと言うことは携帯の充電も切れたのだろう。「タクシーでいいだろ」「お金ない」「歩け」「道わからない」ゴードンが「お願い。お兄ちゃん」と甘えた声を出せばスコットは車のキーを手に立ち上がった。 #140字SS@365

9/12【宇宙の日】
ジョンの機嫌がいい。宿題を忘れてたアランにもジョンのマグカップを割ってしまったゴードンにも穏やかに対応している。「宇宙の日の威力はすごいな」スコットが笑う。バージルがここぞとばかりに「間違えてジョンのベーグル食べてしまった」と言えば、ジョンの顔から笑みが消えた。 #140字SS@365

9/13【世界の法の日】
「今日は世界の法の日らしい」「僕達の家の法はおばあちゃんかな」スコットの言葉にバージルは口元に笑みを浮かべた。いつも家族を導いてくれる優しくも頼もしい法だ。しかし「おや、2人ともちょうどいいところに。ケーキの試食をしておくれ」おばあちゃんの法は時に残酷だった。 #140字SS@365

9/14【メンズバレンタインデー】
「メンズバレンタインデーって知ってる?」アランの何気ない一言にゴードンは身を乗り出した。イベント事は大好きだ。「ゴードンやるつもり?」「楽しそうじゃん!」「でも男性から女性に下着をプレゼントするんだよ?」ゴードンは何も聞かなかったふりでソファーに戻って行った。 #140字SS@365

9/15【老人の日】
「パーカー、これあげる」ふわふわのチーズケーキを持ってアランが遊びに来た。思いがけないアランの訪問にパーカーは驚く。それもペネロープではなく自分にだと言う。「どうされたんですか?」「ゴードンが持って行けって」今日は老人の日。それに気づいたパーカーが指を鳴らした。 #140字SS@365

9/16【マッチの日】
父親の書斎からマッチを見つけた。年代物のそれは最近では見ることのない物だ。初めてマッチにふれたアランは紙箱に入った小さな木の束とザラザラした箱の側面を見比べる。最先端技術が集結するiRには不釣合だが、アランはマッチに父親と祖父の面影を見た気がして大切に引出しに戻した。 #140字SS@365

9/17【キュートな日】
今日は僕の日だってスコットが言った。「アランの日」なんてあったかなぁ?と不思議に思うけど僕の好物が並んだ食卓は大歓迎。食べる僕をスコットはニコニコと見てる。本当は「キュートの日」なんだって。思わず頬を膨らませればその頬をつついて「やっぱりアランの日だ」だってさ! #140字SS@365

9/18【かいわれ大根の日】
夕飯に山盛のかいわれ大根が出てきた。後にも先にも出てきたのはかいわれ大根のみ。「…ゴードン?」「昨日野菜が少ないって言われたから奮発したよ。今日はかいわれ大根の日だもんね」口調は明るいが目は笑っていない。静かに怒るゴードンに他の兄弟は黙々とかいわれ大根を口に運んだ。 #140字SS@365

9/19【クレープの日】
「あれが欲しいな」「クレープ屋の鉄板か?」「それと生地を広げる木の棒」フライパンでクレープの生地を焼くバージルの隣で苺と生クリームを持って待機するジョンは「凝り性だな」と笑った。その後ろをスコットが通りかかる。翌日クレープ用の鉄板と木の棒がトレーシー家に届いた。 #140字SS@365

9/20【マイカーチェックデー】
「マイカーチェックデーだからFAB1の点検に来たよ」「まぁ、ゴードン。ブレインズもありがとう」ペネロープが微笑めばゴードンも笑顔で返す。「点検は口実だよ。僕はお嬢様に会いに来たんだ。点検の間、一緒にデート…」最後まで言い終わることなくゴードンはパーカーに連れ去られた。 #140字SS@365

9/21【世界の停戦と非暴力の日】
「今日は世界の停戦と非暴力の日だ。それを踏まえて落ち着いて聞いてくれ」スコットの前置きにジョンは怪訝そうに頷いた。「どうした?」「アランとゴードンの悪戯でお前の部屋が大変な事になった」「FAB。暴力は明日に持ち越せばいいんだろ」「いや、暴力は…」通信はそこで切れた。 #140字SS@365

9/22【ショートケーキの日】
ショートケーキの日なので今日のおやつはショートケーキだ。嬉々としてテーブルに集まった兄弟にゴードンが沈痛な面持ちで口を開いた。「今日のケーキの内1つはおばあちゃんのケーキです。ショートケーキサプライズだそうです」現場の空気がレスキューさながら緊迫したものとなった。 #140字SS@365

9/23【海王星の日】
「海王星の日だ」ホログラムのジョンが嬉しそうに言った。頷くバージルの横で他の兄弟が話が静かに離脱する。バージルが悪戯心で「その話は直接聞きたいな」と言えば、ジョンの姿が消えた。その数分後、ラウンジに私服のジョンが姿を見せれば今夜は長くなるなとバージルは腹を括った。 #140字SS@365

9/24【清掃の日】
清掃の日だから各自部屋を掃除するようにとお達しが出た。チェックをしに来たジョンに「僕はジョンと違ってベーグルをカビさせたりしないからね」と自信満々に布団を捲れば隠してた課題が白日に曝される。ソッと布団を戻して何事もない顔をするが、部屋の空気は冷えきったままだった。 #140字SS@365

9/25【プリンの日】
「プリンの日だから大きなプリンが食べたい」「それならバケツプリンだ」「いやいや、もっと大きく出来るだろ」そんな会話がラウンジから聞こえてくる。ジョンは何となく聞いていたが「プールいっぱいにプリンを作る」まで来たところで静かに通信を切った。(アホだな)と心の中で呟いて。 #140字SS@365

9/26【風呂の日】
大きな湯船にたっぷりの湯を張る。温かな湯に肩まで浸かれば自然と声が出た。北極でのレスキューで冷え固まった体と気持ちが解れていくようだ。バージルは手でお湯を掬うと顔を洗う。再び大きく息を吐いていると脱衣場から賑やかな声が聞こえてきた。弟達が乱入してくるまで後数秒。 #140字SS@365

9/27【世界観光の日】
「世界観光の日だからどこかに行きたい!」とアランが言った。可愛い末っ子の為にバージルは有名な観光地を挙げ、スコットは1号での世界弾丸ツアーを提案し、ゴードンは海底探索の予定を立てた。目を輝かせるアランにジョンは無言で「世界の車窓から」の配信データを送るのだった。 #140字SS@365

9/28【プライバシーデー】
「プライバシーデーだからもう急に部屋に入ってくるの禁止!」アランが必死に訴えるも当の本人は「アランも大人になったな」と何処吹く風だ。寧ろほのぼのとした雰囲気まで醸し出してくる。長男の襲撃に嫌というほど痛い目をみてきた弟達は諦めろと言わんばかりに末っ子の肩を叩いた。 #140字SS@365

9/29【招き猫の日】
「ジョン、右手をグーにして顔の隣に持ってきて。そうそう、手首をちょっと曲げれる?あーいいね!」その状態でゴードンがジョンの写真を撮れば、カメラの中のジョンには自動で猫耳や髭が付いていた。「招き猫の日だよ」ゴードンは楽しげに画面を見せるがジョンは「消せ」とだけ言った。 #140字SS@365

9/30【宇宙月間】
最近特に仕事が忙しいスコットを家から連れ出そうとアランは奮闘する。「宇宙月間が終わっちゃうよ!」「一人で行ってきていいぞ」「そうじゃなくて…月に行けばテイラー大尉に会えるかもよ?」途端にテキパキ仕事を片付け始めるスコットにアランは「やっぱ行かない」と頬を膨らませた。 #140字SS@365

10/1【コーヒーの日】
コーヒーの日だからお気に入りのコーヒー豆を用意した。丁寧に豆を挽けば芳醇な香りがキッチンに広がった。カップもいつものマグカップではなく、特別な日用の上質なものだ。そのカップに手間隙かけたコーヒーを注ぐ。誰にも邪魔されない静かな朝にバージルは満足げにカップを傾けた。 #140字SS@365

10/2【豆腐の日】
ジョンが家に降りた日の夕食は豆腐尽くしだった。それも湯豆腐や冷奴などシンプルなものばかり。育ち盛りのアランの不服の声にゴードンはジョンをチラッと見て「豆腐はダイエットにいいから」と答える。しかしジョンの額に青筋が浮かぶと慌てて「今日は豆腐の日だから!」と言い直した。 #140字SS@365

10/3【登山の日】
「登山の日だって」ゴードンがTVを見ながら言った。小鳥の囀りに小川のせせらぎ、暖かな木洩れ日に悪くないなと思う。しかしスコットは「登山か…ザイルとピッケル、アイゼンは12本爪でいいか?」と雪山装備を答える。スコットとは登山に行きたくないなとゴードンは腹の中で呟いた。 #140字SS@365

10/4【世界動物の日】
時折起こるバージルの『動物飼いたい熱』今日も懲りずにジョンにプレゼンをしていた。「ほら、今日は世界動物の日だから一匹くらい…」ジョンは溜め息を吐くと「家の珍獣で我慢しろ」とゴードンとアランを目で指した。視線の先にはラウンジで野球をする二人の姿。バージルは肩を竦めた。 #140字SS@365

10/5【世界教師デー】
アランの勉強をスコットが付きっきりでみている。それも肩が触れ、息がかかる程の至近距離で。「スコット近い。アランが困惑してる」ゴードンが助け船を出せばスコットは「今日は世界教師デー」だからなとよくわからない理由で胸を張った。「ジョン、セクハラでGDFへ通報よろしく」 #140字SS@365

10/6【国際協力の日】
「バージル、一緒にゲームやろうよ」アランがシューティングゲームを持って部屋にくる。画集を眺めるバージルは気乗りしない顔でアランを見上げた。「一人でいいだろ」「今日は国際協力の日だからね!協力プレイしないと」アランは無邪気に笑う。バージルは「はいはい」と画集を置いた #140字SS@365

10/7【盗難防止の日】
ゴードンがキッチンの収納に鍵をかけようとしていた。「何をしてるんだ?」バージルの訝しげな問に「盗難防止の日だからね」とゴードンは答える。不思議そうなバージルの横からアランが「これちょーだい!」とお菓子をかっさらう。「僕が取り寄せたんだ!食うな!」ゴードンが叫んだ。 #140字SS@365
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