君の隣にいたいから

スコットはいつだって僕のことを心配してくれた。
「大丈夫か?」
「そっちの様子はどうだ?」
「直ぐに行くから待ってろ」
それはとても嬉しいことだけど、たまに寂しくもなる。だってスコットにとって僕は年下で弟で守るべき存在なんだって嫌と言うほど思い知らされるから。
僕の立つ場所はスコットの隣じゃなくて、比護のもとって言われてるようなものだから。
でもそれは信頼されてないとかじゃないんだ。自分で言うのもアレだけど宇宙でのレスキューは僕が一番得意。それはスコットもわかってくれてて、僕と3号が揃えば最強だって言ってくれる。
それでもスコットは自分のレスキューの合間にも僕の様子を気にかけてくれるんだ。それこそスコットの背後で爆発が起きている時でもね。
「大丈夫か?」って。大丈夫じゃないのはスコットの方なのに。
早く大人になりたいな。そしたらスコットと肩を並べられるのかな。


それから数年後のある日。
背だって伸びて、背伸びすればスコットと視線だって合うようになった日。僕はスコットと一緒に地上のレスキューに出ていた。
燃え盛る森林と取り残された研究所。今にも崩れ落ちそうな建物には逃げ遅れた人が沢山いた。
僕達のレスキュースーツは耐熱材でヘルメットもあるから火の海でも多少は動けるけど長居することは出来ない。時間との勝負だった。
「二手に別れよう。避難誘導と研究所の捜索だ」
スコットはそう言うと僕を振り返った。
「僕が研究所内を捜索する。アランは避難誘導を任せた」

『任せた』

至極当然のように言ったスコットの言葉に僕は自分の耳を疑った。スコットは「任せた」と言ったのだ。その後に「大丈夫か?」も「無理はするな」も「僕が行くまで待ってろ」も何も無い。
ただ「任せた」と。
僕は場違いな笑みが浮かぶのを抑えきれなかった。だってそれは僕がずっとずっと欲しくて堪らなかった言葉だから。
「もちろん!急がないとね」
「何で嬉しそうなんだよ」
スコットが呆れた声を出す。きっとスコットは気づいてないんだ。僕の今までの思いも今の思いもね。
仕方ないじゃん。だってスコットが僕が隣に立つことを認めてくれた日なんだから!
2人でいれば無敵で怖いものなんて何も無い。
火の海だって渡りきってみせるよ。
そしてスコットを守ってあげる。

だからずっと隣に居させてよね、スコット。
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