天に羽ばたき空に舞え、自由の子等よ


巨人の大群が円を描き、リヴァイと○○に迫り来る。この窮地に屋根の上で2人は背中を合わせ、互いの心を落ち着かせていた。


「ガスは尽き、剣は4本、替え刃無し。残るはこの肉体と精神のみ。絶体絶命、だな」

「重荷は、ここに置いていきましょう」


徐々に距離を詰める巨人を前に、○○は立体機動装置を力尽くで外す。リヴァイは彼女の真剣な横顔から意図を読み取り、同じように立体機動装置を力尽くで外した。

死に急ぐためではなく、最期まで巨人に抗うために。


「○○、後悔は、ねぇか?」


彼は剣を構え、臨戦態勢を崩さぬまま彼女に問いかける。


「あるとすれば、私が最期に見るリヴァイが泣いていること、でしょうか」

「仕方ねぇだろ。全ての記憶が、鮮やかに蘇ってきやがるんだからよ。そう言う○○も泣いているじゃねぇか」

「あなたと同じです。リヴァイと仲間と過ごした日々は、幸せで満ち溢れたものでした」


○○は背中で語るのを止め、流れる涙をそのままに、リヴァイに温かい笑顔を向ける。


「……ああ、最期に○○の愛くるしい笑顔を見られるなんざ、俺は最高に幸せな男だ」

「……リヴァイの可愛らしい笑顔、心に焼きつけました」


○○の温かい笑顔に応えるように、リヴァイも優しく微笑んだ。


「さあ、共に羽ばたこうか」

「空は、こんなにも美しい」


空は悲しみを宿さない、雲一つ無い快晴。

目前に迫った無数の巨人に2人は互いに互いの背中を預け羽ばたくのだった──……





いつかまた、会おう




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