心霊旅館 前編
 2010.05.24 Mon 12:14
先週の土曜日、
わたくし椎名彩と、兄さんの椎名悠、セレビシエ君、エリリア先輩の4人で、兄さんの車で家から約2時間くらいの場所の高原に行ってきたことの話です…

朝のうちは天気がよく、午前中はバドミントンをして遊び、お昼には屋外バーベキューの予定でした…

器具の準備が完了して食材を切りはじめようとしたころ、急に雲行きが怪しくなり、しだいにポツポツと雨が降り始めてきました…

みんな大急ぎで食材や器具を片づけて、車に全て詰め終わる頃には大雨が降り始めてきました。

彩:はぁ・・・
まったく兄さんったら天気の方ちゃんと確認しておかないから!

悠:うーんおかしいなあ・・・
朝方はあんなに晴れてたのになぁ・・・

エリリア:山の天気は変わりやすいですぅ^^;

セレビシエ:あー、はらへったー
どこか食いに行こうぜー!!

せっかくみんなとのお出かけなのにお昼に帰宅なんてなんだかってかんじです・・・
雨で服は濡れてしまいましたし・・・
これでしたらエリリア先輩とショッピングに行ってた方がよかったかなぁ・・・

ゴロゴロゴロ〜〜

彩:きゃあ!

セレビシエ:おおうw

雷も鳴り始め、雨も滝のような土砂降り。

悠:まずいなぁ・・・とりあえず急いで山を降りるか。

エリリア:運転気を付けてくださいですぅ><。

私たちは来た道を急いで戻って行きました・・・
来た時に見えた風景は全く見えず、数メートル先のガードレールが見えるか見えないかくらいの視界の悪さ・・・

兄さん大丈夫かしら・・・

しばらくクネクネとした山道を走っていました。
視界が悪く、兄さんは運転に真剣になってて、セレビシエ君もエリリア先輩も無言でいるうちに・・・

彩:・・・・・・コク・・・

んん・・・
ちょっとバトミントンのときにはしゃぎすぎたのと、急いで器具を片づけたせいもあって、なんだかちょっと疲れが出てきたみたい・・・

うーん・・・今度は天気のいい時に連れてきてほしいなぁ・・・

そんなことを考えながら窓の外をぼんやりと見てると、灰色の景色の中、遠くのほうに建物みたいのが見えたような気がしました・・・

・・・・・・なんだろう・・・

しだいに。。。その建物がだんだん近くに見えてきたような気がしたころ・・・私の意識は・・・




・・・



・・・



あや・・・


おきろあや・・・


あ、いけない・・・

兄さんに声をかけられて私が目をあけると・・・どこかの駐車場に停車してました。

彩:あれ・・・ここは・・・?

兄さんは真剣な顔をして私に話しかけてきました。

悠:なんかこの先の道で土砂崩れがあったみたいで山を降りられなくなっちまったみたいなんだ

彩:ええ!?

悠:いつ道が通れるようになるかわからないからとりあえずここで一休みしていこうと思う

ここって・・・
さっき車から見えた建物・・・?

セレビシエ君とエリリア先輩はすでに車から飛び出していて、雨の中建物の方に走っていくのが見えました。

私も兄さんに手を引かれ、一緒に建物の方に向かっていきました。

でもなんだろう・・・
なんだか・・・

遠くから見えた建物は古い旅館だったみたいです。
中に入ると・・・奥から宿主が出てきました。

悠:少しの間でいいので休ませてもらっていいですか??
土砂で山を降りられなくなってしまって・・・

すると宿主が、
「お部屋も空いておりますので、ゆっくりしていってください」
っと、クスクスと笑いながら私たちを部屋に案内してくれました。


セレビシエ:旅館だったらうまそうなもの食えそうだなw

エリリア:私もお腹ペコペコですぅ^^;

私たちは大広間で昼食をとり、そのあと案内された部屋でくつろぎながらみんなとお話をしてました・・・

たまにはこうやってみんなとお話するのもいいものですね。
でも・・・この雨いつ止むのかな・・・

時間が15時くらいを回ったころ、宿主が部屋にやってきました。

土砂の撤去作業は今日中には終わらないと連絡があったらしく、そのことを話してくれました。
私たちが困ってると、宿主が今日はとくにお客も来ることないのでタダで泊まっていっていいですよと言ってくれました。

兄さんがさすがにそれはマズイですって言いましたが、宿主は「いいのですよ」といって部屋を出て行ってしまいました。

そんなことで、私たちはこの旅館に泊まっていくことになりました。

それにしても・・・ホント私たち以外だれもいないみたいな感じです・・・
建物も・・・ちょっと傷んでる感じでだいぶ古くからある建物だっていうのが伝わってきます。


夕食後・・・
兄さんはビールを3杯ほど飲んで酔い潰れてしまい、セレビシエ君とエリリア先輩が兄さんをかついで部屋に戻って行きました。

私は一人で旅館のなかをちょっと見て回ってました・・・
廊下は薄暗く、明りがついてるのは大広間と私たちの部屋くらい・・・

本当に私たち以外のお客さんはいない感じです。
2階に続く階段があったのでちょっと探検する気分で上がってみることにしました。


ミシミシ・・・
階段を一段上る度にミシミシとベニヤの板から音が聞こえてきました。

2階に上がると、1階と同じように廊下が続いていて、どこからかヒューヒューと隙間風が入ってくる音が聞こえてきました。

彩:・・・あそこだけ明りがついてる。

一番奥の部屋から少しだけ明りが漏れているのが見えました。
ほかにもだれかお客さんきているのかしら?

私はちょっとだけ確認しようと、明りの漏れてる部屋に近づきました。
戸が少しだけあいていて、そこから隙間風が聞こえてきたみたいです。

まわりに誰もいないことを確認して、戸の隙間から部屋を覗いてみました。



・・・・・・。
部屋のなかを覗いてみましたが誰もおらず、窓が全開に開いてて、カーテンがバサバサと揺れているのが見えるだけでした。



ミシ・・・ミシ・・・

っと、誰かが2階に上がってくる足音が聞こえてきました。

私はビクっとして、大慌てでどこか隠れられる場所がないかとまわりを探し、目に付いた廊下の一番奥に積まれていた段ボールの箱の裏にとっさに身を隠すことにしました。


ミシ・・・ミシ・・・・・・コト・・・コト・・・。
2階に上がってきたみたいです。
私は身を隠すのに必死で誰が来たのか確認する余裕もありませんでした。

勝手に人の部屋を覗いてしまったためこんなことになるなんて・・・わたくしも皆さんと一緒に部屋に戻るべきでしたわ・・・

足音はだんだん大きくなってきて、明りのある部屋の前まで来ているのがわかりました。

私の心臓はすごくドキドキしていて・・・聞こえてしまうんじゃないかとおもうくらい・・・
思わず声が出てしまいそうな感じでした。

距離としては約1メートルくらい
ちょっとでも物音を立てたら聞こえてしまう距離。


「今日は珍しく迷い人がきたみたいだからな・・・」


今の声って・・・
・・・・・・・・宿主さん??

明りのある部屋の戸がキィーっと開く音がして、そのあとバタンと戸が閉まる音が聞こえました。

私は段ボールの端から廊下の方をチラっと見まわしましたが薄暗い廊下が見えるだけでシーンと静まりかえっていました。

いまだに心臓はすごくドキドキしたままで、足音をたてないよう、みんなのいる部屋に戻ろうとしたときでした。

ゴト・・・
びちゃ。。。

足元にあったポリバケツらしきものを蹴ってしまったみたいで中にはいっていた液体が少しだけ床に零れてしまったみたいです。

まわりに拭くものもないので、どうせ水かなんかだと思ってそのままにして私はその場所を離れて行きました・・・


部屋に戻ると、兄さんは布団でグーグー眠っていて、セレビシエ君とエリリア先輩はどこから持ってきたのかわからないけどオセロをやっていました。

エリリア:彩ちゃん、遅かったですけどどこ行っていたのですかぁ;;?

セレビシエ:よっしゃーwこれで王手だーw

・・・王手?
相変わらずセレビシエ君はよくわからない子だなぁ・・・w

エリリア:彩ちゃん^^
このゲームが終わったら一緒にお風呂に行きましょうですぅ><

セレビシエ:イヤン、えっちw

私は二人のオセロをみながらさっきのことを思い返していた。


「今日は珍しく迷い人がきたみたいだからな・・・」


さっきこぼした液体がちょっとだけ靴下にかかって気持ちが悪い感じです。


オセロが終わり、私とエリリア先輩はお風呂場に向かい学校のことや最近の流行りなどについて話をしていました。


しばらく湯船につかりながらおしゃべりをしていて・・・

長く湯につかっていたせいか喉が渇き、お風呂場を出たら先にエリリア先輩に部屋に戻るように言って私は大広間にある水道のある場所に向かって行きました。


水を飲み終え、廊下に出ると自分たちの部屋が真っ暗であることに気づきました・・・

彩:もうみんな寝ちゃったのかな?

ホント暗い旅館です・・・
私は暗いのが苦手で、そそくさみんなのいる部屋に向かって早歩きをしました。

彩:うーん、エリリア先輩も私が戻ってくるまで起きてくれてもいいと思うのになぁ・・・

などと文句をいいつつ、部屋の戸をあけると・・・












誰もいない・・・



セレビシエ君も・・・先に帰ってるはずのエリリア先輩も・・・寝ていた兄さんすらどこにも見当たらなく・・・
そして兄さんの寝ていた布団すら見当たらなく・・・

彩:あ、あれ?
暗かったから部屋間違えたのかな・・・

などと思いつつ部屋を出なおしてみてもやっぱり私たちが案内された部屋はここで間違いはなく・・・


部屋には・・・私の手提げだけが残されていた・・・

彩:な・・・なんで・・・
どういうこと・・・なの・・・・・・

っと、その時私の手提げの中からケータイの音が鳴り出したのに気がついた。

すぐさまケータイを開いてみると兄さんからメールが届いていた。

「早くここから逃げろ」

っと、1行だけのメール・・・

なにこれ・・・
どういうことなの・・・

やめてよ・・・

私怖いの嫌いなの知ってるじゃない兄さん・・・



ねえ・・・早くみんな出てきてよ・・・

暗い部屋の隅っこで・・・
私はケータイを握ったまま動けなかった・・・





・・・・・・カタン

廊下の方から物音が聞こえた

彩:・・・。

私は無言で廊下に出てみると廊下の向こうから誰かがこちらに向かってくるのがわかった・・・

彩:だ・・・だれ・・・?
兄さん・・・?セレビシエ君・・・?エリリア先輩・・・??

後編に続く

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