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「あ、」
「どうかしましたカ?」
「雪だ」
「オヤ、どうりで寒いわけデスネ」

休日の終盤、連れ去ったギルバートを自室に招き暖かい暖炉の側で一眠りしている間に、窓外は銀世界に染まっていた。真夜中の街に映える白い雪、今も止む様子はなく、いつもの街をまるで違う世界のように飾り付ける。

「雪を見ると何だか余計に冷えますネ。お茶でもしましょうカ」
「しましょうかって…どうせ俺がいれるんだろ」
「当たり前デショウ」

ブレイクは、くあっと大きな欠伸を一つして窓から目を移し、にこやかにギルバートの方を向いた。

「お前な…ちょっとは遠慮しろ」
「えー、だってギルバート君がいれてくれたお茶が一番美味しいんですカラ仕方ないじゃないですカァ」
「仕方なくない!大体いつも砂糖ばっかり入れて味なんて殆どしないだろ」
「ちゃァんとしますヨ。ギルバート君がたっぷり注いでくれた愛情の味「分かったから恥ずかしい事を言うな」

さっさと立ち上がりキッチンへと消えて行ったギルバートの背中にひらひらと手を振りながら、ブレイクは小さく溜息を吐いた。







――――――――――――――

「こっちですヨ」

紅茶の薫りが部屋中に広がった頃、ブレイクはまだ暖炉の前でブランケットに包まっていた。その裾を広げて自分の脚の間にギルバートを招き入れる。

「良い薫りデスネェ…」
「一応、ちゃんとしたとこのだからな」
「ギルバート君は相変わらずコーヒーなんですネ」

嫌がられると思っていたのに案外すんなりと身体を預けて来たギルバートに少々驚きながらも、嬉しいことに変わりはない。二人で一枚のブランケットを羽織り、ゆっくり、ふわふわと舞う雪を見ながらこの平和な時間を噛み締める。
ブレイクがギルバートの肩に顎を乗せ顔を覗き込むと、紅と金がぶつかった。にやりと笑うブレイクの顔を見て、びくりと身体を震わせたギルバートは、今更恥ずかしくなったのか真っ赤になり俯く。

「かーわいい顔してますネェ」
「煩い」
「照れ屋さんなところも可愛いデスヨ」
「ッ!」

いつもは黒い髪に隠れている白い首筋をきつく吸うと、恥じらうように紅い花が散った。

「んっ…、ブレイク、そこは見えるから」
「見せてやればいいんですヨ」
「駄目…ッ、ひぁっ!」

痕をなぞるように舌を這わせば、嬌声と共に視線も上がる。

「ホラ、もっと聞かせて…」

甘く囁けば、もう堕ちる。

「も、…付け、過ぎ…っ」


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リゼ