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弟が兄を愛しすぎてますな話。
でも得に何もなくぬるーい感じですごめんなさい。←
知ってる?
鋏なんかで切れないんだよ。
僕らのカンケイは。
仄暗い廊下。
かすかな雨の囁き。
衣擦れの音。
ブロンドの長い髪を揺らしながら歩く影は真っ直ぐと前を見詰め、緩く口角を上げたまま、深い夜の闇へと溶け込んでしまった。
「今行くから、ね…。待ってて兄さん。」
扉を開ければ明確に聞こえる雨音。
迷路のような街の中、彼へと繋がるたった一つの道を迷わず選び、ヴィンセントは一人歩いて行く。
古ぼけたアパートメントの前で立ち止まり、見上げた愛しい人の部屋。
カーテンは閉じられ、明かりはついていない。
(…つけられる筈ないけどね)
軋む階段を一つあがれば期待に高鳴る鼓動。
もうすぐ会える、美しい黒髪の彼への期待。
ガチャリ
ドアを開け、明かりは燈さずにそのまま寝室へと足を運ぶ。
「兄さん…」
「ヴィン…セント…!」
期待通りの姿。
ギルバートは最後に会った姿のままそこに佇んでいた。
別れ際、彼の手首に付けておいた鈍く輝く銀色の桎梏[しっこく]。
「やっぱり…兄さんは可愛いね。僕が来るのをずっとそこで待っていてくれたんでしょ…?」
暗く湿った空間にそぐわない柔らかい笑みを浮かべながらヴィンセントはそう語りかけた。
「馬鹿言うな…ッ!コイツがあるから動けなかっただけだ!」
じゃらり、と鳴った鎖はベッドの柵に通され、時折ガチャンと金属がぶつかる音がする。
ギルバートはそれを心底憎そうに睨み、その視線をそのままヴィンセントに向けた。
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