久しぶりにホグワーツへと立ち寄ってみた。

今は休暇中の為か生徒の姿が見受けられない。
校庭を回りながら歩きづらい砂利道を進んでいく。

ここはやはり数年では何一つ変わっていなかった。

脇から突き出ている木の枝を避けながら大イカがいる湖の岸に腰かけると深いため息をつく。

一人も残っていない学校から懐かしい鐘の音が聞こえて、急激に学生生活が脳裏に蘇る。


「もうやめた、そらし続けてた目も戻す」


誰に言うわけでもなく、一人そう呟く

顔を覆っていた手を頭上に掲げると中指に嵌まっていた指輪が反射して目を伏せた

「だって私、今凄く幸せだもの。羨ましい?ねぇレギュラスブラック」


空に向かって芸能人顔負けの指輪見せサービスショットをお見舞いさせると手足を地面に放り出した。


暑い。
少し動いただけでも汗が吹き出す。
今の服が黒でなくて良かった。


ムシムシとした気温に湖の水面には羽虫が踊っているのが見える。

ナマエは大の字でかいた汗を蒸発させようと手で扇ぎ数量の風を首に当てる。


そういえば奴は誰に処分されたのだろう


ふと私は思い浮かび当時近くに居た死喰い人に聞いた事がある。
嫌な顔を露骨にされ、我が君と言われた時はそりゃそうだと納得した。
手を出した死喰い人が誰かなんてどうでも良いに決まってる。
我が君万歳。
レギュラス?誰それ。



「婚約者だって居ただろうに」


キラキラと光る指輪を眺めて指から抜き取る。

真新しい指輪の内側に彫ってある自分のイニシャルと相手のイニシャルを見ると妙な気持ちになった

B.K
そう刻まれている指輪を撫でていると近くから声が聞こえた


「ドレス、汚れてる」


容赦なく注がれていた日光が遮られ黒い影が顔に落ちる。

誰だか分からない人物に手を伸ばすと、相手が一瞬戸惑って脇に持っていた日傘を差した。


「見えた」


ナマエがそう言うと、相手のネクタイを引っ張って首を閉める。


「バーティだ」

「…ドレス。汚れてるだろ」


思わず片膝を付いて相手の綺麗な燕尾服に草がつく。


「すぐここだって分かった?」

「…当たり前」


そう言うバーティの靴と裾はぐっしょりと汚れていて言葉とは裏腹にに大分探してくれたのかもしれない。

ナマエはネクタイから手を離すとするりと彼の手を握って木の陰へと腰を落とした。

「暑すぎて、湖に沈もうかと考えてた」


バーティは何も言わない。
時折指に当たるヒヤリとした感触に本当にこの人なんだと再確認させられる。

ジワジワと汗ばむ体に涼しい風が吹くと途端に呼吸が楽になる。


「もう身勝手なこと出来なくなるね」

「自覚してたのか」


呆れた表情ではなくただぽつりと呟いた彼に目を向ける

暑そうに前髪を上げる彼はナマエの視線に気づくと目をかち合わせた。

バーティの胸に手を置くすると自然に近づく顔に彼は戸惑って顎を後ろに引いた


「連絡だ。これから集会だと」


突然の言葉に目を点にさせる

なんだ
と納得した思考はどうりで思った以上に早く来たはずだと目を細めた。

ナマエはネクタイを引っ張ってもびくとも動かない男を笑いながら見返す。


「ああ、麗しの我が君私達のために祝いの場を開いてくださるのね」


詰るように乱暴にネクタイを手放す。

少し苦しそうな表情のバーティを尻目に立ち上がろうとした彼女の手を掴み引き寄せた。

地面に傘が落ちる。


「…レストレンジさんが居る、マルフォイさんも居る、ほら大好きだろうロジエール。ナマエ帰ろうな。あいつみたいに馬鹿な事かんがえるんじゃない」


ファミリーネームを読み上げるたびにその人の顔が浮かび上がる。
自分は抱き寄せられているバーティの背中に手を回すと、顔を上げる。


じっと見る彼の顔は心なしか少し窶れてるような気がする。
そんな頬を両手で撫でると「レギュラスの亡霊にでも会ってるの」と冗談混じりに投げ掛けた。


「さぁどうだったかな」と小さく笑うバーティが回していた腕を掴むと掌にキスをした

何を怖がっているのか
指輪を嵌める
多分魔法以外では一番の縛りまで貰っているのに。



止めていなければずっと続けるつもりの行為を制して「ゆっくり休んで」と額にキスを返した。






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