君名呼紡/藍染と燿鴇

 
「そうか?答えは至って簡単だ。この世界が愛おしいから、私は与えられる全てを受け入れる。例え君がそれを理解し難いと思えど、これが私の――」

“運命”などという言葉が赦せなかった。それを定めた神すら赦せなかった。彼女に残酷な行く末を定めた人が皆、心から憎かった。何も出来ずに、護ることすら出来なかった自分自身も、赦せなかった。だが彼女は影贄として生きることを選んだ。
護られるよりも護ることを。

「私はその機会を与えられたんだ」

我が身を人柱にすることを甘受した少女はそう言って微笑んだ。




( 初めて生きて愛したいと思った女と、喪って初めて愛というものに気付いた男 )
 




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