過去拍手/市丸
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――なんでこんな状況になってるんだろう。元はといえば、乱菊さんが主催した飲み会…あれにさえ出席しなければよかったんだ。





 罰ゲーム





「なァ、何処まで行くん?」

「うるさい。来ないでください」


業務時間真っ直中。
人にぎわう隊舎内の長い廊下を、人の目気にせず歩く二人の死神。一人はニヤけた顔している市丸隊長。もう一人はその前をズカズカ歩く私だ。


「嫌なら付いて来ないで!」

前をしっかり向き、振り向かずに言い放つ。


「そんな冷たくせんといてぇな。…だってゲーム負けたやろ?」


私はその言葉にピタッと足を止めた。


背後で市丸隊長の笑みが増したのが見なくても分かる。――だめだ、この人 この状況を楽しんでやがる。


「ゲームでぼろ負けしたやん」


そしてゆっくりとした口調で、今一度事実を私に告げた。

三日前の飲み会。
その時に、完全に酔っ払いだした乱菊さんと檜佐木副隊長がその場で思い付いたゲームに皆 強制参加させたれたのが、唯一で最大の原因。それにはゲームで一番目に勝った者が最下位の者に命令を三回下せる、といった罰ゲーム付きだった。有効期限は一週間だけど。

それに見事負けたのが言うまでもなく…くるっと振り向き、背後に立っているゲームで一抜けした相手をキッっと睨みつける。


「あらまァ、怖い顔。可愛いのが台無しやで?」


誰のせいだ…!

敢えて声には出さず目で訴えてやった。


――それで、一個目の命令が
『ボクと一緒にいる』こと。

そんな訳でこの三日べっとりされている。しかも隊長は毎度ながら隊務を放棄してだ。と言っても、私が拒否ってるので今のこの有様。…しかし認めたくないが、有り得ない事態が発生した。この三日間で私は多少なりとも市丸隊長に好意を持ち始めたらしい。自分でも信じられない!否、信じたくないし認めたくないっ!!


「…まぁ、ええわ」

「えっ、ちょっと…!」


相変わらず睨み付けていると、小さなため息をついた隊長が張り付いたような笑みを浮かべ、私の腕を引いて廊下の奥の人気のないところに連れていった。


「な、なにす…」


市丸隊長は冷たい指を私の唇に押しあてた。そして突然の行動に戸惑っている私のほほに軽くキスすると耳元でボソッと呟き、反論するひまも与えずにスキップのような足どりで元来たほうへ姿を消した。

市丸隊長が行った後、私はへた〜っと壁伝いにその場に座り込んだ。

さっき耳元で言われた言葉を思い出してしまい、顔が赤く染まるのが分かる。


今はこれで我慢やけど――次はここ貰うから、覚悟しいや…




…私、多分もう心臓、保たない。




(罰ゲームはあと四日で二回)


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