雲凪番外編[特別な人3]





あの雲雀恭弥でも深刻な問題を抱えている。
雲雀の悩みを言い当てた凪は、少しだけ優越感に浸っていた。

しかしその優越感も長くは続かない。
次第に雲雀の表情が堅いものから柔らかいものへと変わる。
そして口元を緩めてニヤリと笑うと、いきなり触れるだけのキスをした。




「きょう……や…、」

「君も僕と同じだろ?」

プライドが高い。
他人との付き合いがない。
ゆえに甘え方がわからない。

人生の経緯はどうあれ、僕らは似た者同士だ。




「だから、自分自身を受け入れると思えば矛盾は無くなるよ。」

「……………。」

「あぁ、安心して。
だからって抱かないから。」

「‥だ、誰もそんなこと…。」

「その代わり、子供が欲しいって思ったらすぐに言ってね。
何人も産ませてあげる。」

「!」

立場はまた逆転。
凪が恥ずかしそうに顔を隠すと、雲雀は勝ち誇った顔をしていた。

何故か悔しい。
表には出さないような一面を見られる機会だったのに。
もっと困った顔を見せてほしかったのに。
凪は自身の弱さを反省し、そして自身の強さを引き出そうと考えた。




「…………。」

雲雀に一般人の強さが通用するかわからないが、やってみる価値はある。

凪は雲雀の頬に手を添えた。
そしてゆっくり唇を近付けて静かに重ねる。
緊張のあまり上手く重ねることができなかったが、雲雀が首を傾げたおかげで、しっくりくるキスができた。

唇を離した緊迫した空気の中、凪は更に仕掛けようと身を乗り出す。




「……あの、」

「ん?」

「子供、じゃなくて。」

「?」

「………その…恭弥が……。」

「…………。」

「恭弥が欲しい……って…言ったら‥‥?」

手と声が震える。
最後まで恭弥の目を見て言えなかった。




「…………。」

「ねぇ、」

「っ…。」

「僕の目を見て。」

雲雀は低い声で呟いて、凪の腰や太股を撫でた。
その声はどこか嬉しそうで、凪は更に目線を合わせられなくなってしまう。
そして雲雀の全身から艶やかな雰囲気を出しているようで、凪を酔わせた。

これが発情というものなのか。
雲雀の行動の1つ1つに反応してしまう。




「…ぁ……っ…はぁ…。」

「まぁ、今じゃなくてもいいか。」

突然、雲雀の手は凪から離れた。




「抱くのは後でもいいかい?」

「ぇ……?」

「まずは僕らのボスに報告しないと。
抱いた後に行っても草食動物はもう日本にはいないよ。」

「…………。」

この人、何時間するつもりだったの。

凪は雲雀が急に恐ろしく見えた。
一方、雲雀は凪を自分のものにしたことで嬉しそうに笑っている。
雲雀は凪の髪や着物を丁寧に整えると、先ほど寝ていた部屋に戻ろうと立ち上がる。




「じゃぁ、君が作った朝御飯を食べにいこうかな。」



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リゼ