雲凪番外編[4人の関係]















――‐‐…‥‥



「ん……ぅう‥。」

朝日と鳥の鳴き声で目覚める。

寝呆けた視界で辺りを見渡せば、右には雲雀、左にはツナが寝ている。
結果的に寝る場所を変えることによって雲雀の殺意から逃れたツナは、今は安心してぐうぐう熟睡している。
なんとも平和な光景に癒された凪だが、体に違和感があった。




「………朝ごはん…。」

食べたい、かも。

だが女中さん達は熟睡して起きる気配が無い。
起こすのも失礼かと思った凪は、ゆっくりと起き上がって衣服を整える。




「……………。」

静かに障子を開けて部屋を出れば、一人で調理場へと向かった。
美味しくできるかはわからない、だからと言って朝食抜きというのも辛い話。
これは一種の花嫁修業。
雲雀の隣にいて馬鹿にされないよう、凪は今日から頑張ることにした。




「……………。」

自分が、花嫁。

そう思うだけで顔が熱くなってしまうのは何故なのか。
自分の中に潜んでいた乙女心が、ついに目覚めようとしているのか。
今のところ結論は出ない。

美しい庭園を過ぎ、もう少しで調理場という時。
足音を立てないように歩いていると、後から肩を叩かれた。




「!」

「おはよ。」

凪が振り向けば例の白い人。
早く起きたので貸し切りの風呂を満喫していたらしい。
体がぽかぽかと湯だっている。

チャラけた男は嫌いだと言い張っていた骸が、何故惚れたのか。
外見はふざけてても中身がエリートだから、と前々から聞いていたが本当なのか。
朝から色々と考えてしまうが、今は朝食を作りに行かなくては。




「早起きだね。
これから何処に行くの?」

「朝ごはん…。」

「あぁ、調理場に行くんだ。
なら僕も手伝うよ。」

「そんな、骸様が。」

「綱吉君の隣に寝かせておいたから、しばらく起きないよ。」

昨日から今日まで頑張らせちゃったからねー、とヘラヘラ笑う。
大事な妻を他の男と寝かせていいのか、凪は白蘭の行動を不思議に思った。
だが今は何としても腹ごしらえ。

途中から白蘭も同行し、やっと調理場に着く。
献立は「適当に出来たもの」ということで作りはじめた。
ご飯を炊いたり、鍋に水を入れて沸騰させて味噌汁の用意をする。
主に白蘭がおかずを担当し、野菜を切ったり炒めたりしていた。




「……………。」

「?
僕の顔に何かついてる?」

「平気なの…?」

「何が?」

「骸様、放っておいて。」

「……………。」

野菜の皮を剥きながら、白蘭は答えた。




「本当に愛しているのか、って聞きたいんでしょ。」

「…………。」

「僕も骸君も、愛想よくしてれば恋人なんて簡単にできるからさ。」

「うん。」

「その…緊張感っていうの?
『隙あらば誰かに取られちゃうよ』っていう挑発をお互いにしてるんだよね。」

そりゃ嫌でも必死になるよ。

骸が雲雀の屋敷に泊まった時、白蘭は実験をしていた。
本当に骸が自分を好きならば、見捨てられたんじゃないかとすがってくるはずだと。
だが結果は微妙に違った。
確かに骸は自分のもとに帰ってきたが、雲雀に心を許した瞬間がある。




「雲雀君はね、ああ見えて心が広いから。」

「……………。」

「『もし今の旦那に飽きたら浮気相手になってあげるよ』って言ったんだって。」

隙を見せたら盗られる。
この緊張感が束縛という欲を掻き立てるらしい。

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リゼ