雲凪番外編[お泊まり会3]






(修学旅行かよ…)

何人もの女性に囲まれて寝るのは人生初。
ツナは多少マギドギしながらも天井を見つめていた。

近くで寝ている草壁や凪はとっくに夢の中へ入っている。
だが雲雀と凪の間にいるツナは、見事に雲雀に抱き寄せられていた。
右に獣、左に花。
少し危ない方向へ走りそうだ。




「…………はぁ。」

遠くで寝ていた骸は、ちょっと前に身仕度をして部屋を出ている。
おそらく旦那のところに帰ったのであろう。
骸がそうしたいのなら誰も文句は言わない。

とりあえず今考えるべきことは、どう寝返りをうてばいいのか。
ツナは自分にできる最大限のスローモーションで凪側に寝返ろうとする。
だが、後ろから冷ややかな殺気を感じたので雲雀側に寝返った。









































――‐‐…‥‥




「さて、」

着物から私服に着替えた骸は白蘭の所まで歩いて帰ろうとしていた。
もっと皆の傍で寝たかったが、白蘭の胸元で寝たいという気持ちの方が強い。




「これが世に言う禁断症状ですかね…。」

長い廊下をなるべく音がたたないように歩く。
もうすぐ広い庭園が見えてくる。
月明かりに照らされた庭園は綺麗なんだろう、そう思って角を曲がれば人がいた。




「な‥‥。」

「あれ、もう着物じゃないんだ。」

これは残念、
そう言っておちょこに酒を注いでいる白蘭が目の前にいた。
ちなみに雲雀邸の掟により、今は着物姿。

骸はすぐに白蘭のもとへ走り、首に腕をまわして抱きつく。
こうなると予想していた白蘭は、数秒速くおちょこを床に置いていた。




「深夜に外へ出たらナンパされちゃうよ?」

「貴方以外に興味なんてありません。」

「いいね、その台詞。
やっぱストレートにくる子が1番かな。」

「ん、」

「じゃ、ご褒美…。」

そのまま自然と重なった唇は段々と深くなっていく。
骸の髪は白蘭の手によって崩され、逆に白蘭の着物は骸によって乱されている。
キスが終わると、着物をどかして首筋に甘噛みをしていった。




「ん……。」

「部屋‥行きましょう?」

骸が切願すると、不思議そうにした白蘭だったが、すぐに骸を抱えて手前の部屋に入る。
そこには綺麗に敷かれた布団が2つ。
迷わず骸を押し倒して体に貪り付いた。




「ぁ…ッ明日は…?」

「オフにしといた。
これでも用意周到だからね。」

「ん‥‥、」

「気絶しないでよ?」

「望む‥ところです。」

さすがは骸君。
かなり上出来だよ。
これなら何時間も天井裏に隠れてたのは正解だったかな。
まぁ雲雀君には気付かれてたかもしんないけど。

衣服を脱がし、楽な格好にさせると顔が赤くなっていく彼女。
これがクセになる。
静かに抱き締めると僕の息子が当たるらしく、耳元で「変態。」と言われた。




「もう‥早いですっ」

「まだまだ。
僕はこんなもんじゃないよ。」

「ンぁ……っ」

「………………。」



何、この固いモノ。

抱き合っていたら何か違和感。
この場所は乳首ではない、何か胸に凄く固いものが当たる。
気になった白蘭は、骸に気付かれぬよう強引にキスをしたと同時に回収した。




「…………。」

「ン…どうしました?」

「いや、」

うーわ。
盗聴とか…古風だね。

おそらく犯人は雲雀。
先程凪に付けていたように、今度は骸に付けたらしい。
別にこれからの情事を聞かれても問題はないが、骸の声を他人に聞かせたくない。
白蘭は盗聴器を指で潰し、部屋の隅に放り投げて処理をする。
そして骸の胸に顔を埋めて行為を続けた。


(盗聴なんて100年早いね)



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