雲凪番外編[お泊まり会2]






「まったく、何なんだろうね隣の部屋は。
君が慕ってる骸様って人のプライベートを覗く趣味があるわけ?」

「………………。」

何も言い返せない。
だって言われたことが正しいから。

骸なら襖をそろそろと開けてくるだろう、そう予想していた雲雀はハズレ。
対して凪は何も言わずにちょこんと座っているだけだった。
だが凪も、心の内では骸は襖を開けるだろうと考えていた(妙なところでの以心伝心)
そして骸の疑り深さに何も言えなくなってしまった。

盗聴…って、骸様‥‥。




「ねぇ、君寝ないの?」

「だって……。」

「隣がアレじゃ襲う気にもならないよ。」

「……………。」

「それとも、僕の意志とは逆に期待してる?」

「な…っ」

首に吸い付かれて思わず声を出してしまった。
ついでに隣から約2人、慌てだす声が聞こえる。

わぉ、絶対盗聴器的なものを使ってるよね隣。




「はぁ‥。」

「?」

「ちょっと、」

耳貸して。

ひっそりとした声とジェスチャーで凪に雲雀は自分の意志を伝えた。

『とりあえずこの場は和ませておいて、少し時間が経ったら別の部屋にいこう。』

これがどういう意味を表しているのか、凪は理解したうえでぎこちなく頷いた。




「それじゃぁもう寝ようかな。
今日は疲れてるから抱くのは明日に延長だね。」

「は、はい!」

「あーあ、明日が楽しみだな。」

全て棒読み。
盗聴されている状況を逆手にとり、相手にはっきり聞こえるようわざと大きな声をだした。

その演技慣れしていない雲雀の不器用さ。
凪は笑ってはいけないのをこらえて口元を手で隠した。




「……ちょっと、何笑ってるのさ。」

「な‥んでも……っ」

「やっぱり予定変更して今夜にしよっかな。」

「!!!!」

「だぁあーー!!!
雲雀恭弥ぁあああッ!!!!」

「骸様!」

「ちっ」

「舌打ちなんてしないでください!
君はまだ思春期なんですかっ」

「人の恋愛事情を勝手に覗く方と、どっちが幼いんだい?」

「母性と言ってください発情期!」

「あ、ボス。」

「ってこっちに話題をふるなよ!」

「草食動物にしてはやることが冴えてるじゃないか、汚らわしい。」

「け…ッ?!」

「寝言は寝てから言ってください!
その汚らわしい行為を今まさにしようとしているのはどこの誰ですかッ」

「だから今普通に寝るって…君病院行ったら?」

「な゙……ッッ」

「恭弥…それ言い過ぎだと思う‥‥。」

「もうあったまきました!
沢田綱吉!」

「はい!」

「雲雀君と凪の間で寝てくださいっ」

「は…ッは?!
何で俺が!??」

「僕が間に入ると何されるかわかりませんから。」

「へぇ、今どの口が言ったんだい?」

「いや俺じゃありませんから雲雀さん!」

「じゃぁもう皆で寝ましょうっ」



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