雲凪番外編[お見合い開始3]





「ま、だ……?」

「とれた。」

「…ふぅ……。」

凪の太もも付近、小型の盗聴器は無事にとれた。
気付けば着物以前に襦袢さえも乱れている姿。

開けた障子をそっと閉めて下に落ちた着物と帯を拾おうと手を伸ばす。
すると、すかさず雲雀の手が凪の手首をつかんで中断させた。




「恭…弥……?」

「このままでいいよ。」

「え、だって着物…。」

「僕はこっちがいい。」

ぺたりと凪を畳に座らせると雲雀が馬乗りとなって跨ぎ凪は倒れる、属に言う押し倒された状態。
凪の頭の上で両手首を自分の両手で掴んだまま顔を近付けさせる。
すると凪は恥ずかしくなって目線が合わせられなくなり、ぷいっと横を向いてしまった。

その態度が気に入らなかったのか、雲雀は片方の手を解放すれば凪の頬へとあてられる。




「何で逃げるの。」

「だって…盗聴器。」

「あの騒ぎじゃ何をしても聞こえないよ。」

「でも、」

「目を閉じて。」

段々と距離を近付けて確実に唇を重ねようとする、自分では考えられないほど優しくしているつもりだ。
それでも不安そうで半分自棄(やけ)になって目を固く閉じている凪。
それを見た雲雀はため息を吐きながら、凪の手首から手を離して凪の上半身を起こさせた。




「……恭弥…。」

「…何をやるにしても純粋すぎだよ。」

「純粋?」

「君、キスとかハグとかされたことがない処女でしょ。」

「…………。」

「悪いけど、処女に手は出せないよ。」

「…私、ダメ?」

「うん。
骸もやっかいな人物をつれてきたよ。」

「じゃなくて、」

「……?」

「私、女としてダメかな。」

「…………は?」

「骸様みたいに積極性がなくて、いつもほっといて。
だから恋人として失格なの?」

「……待って、
君の話の流れ的に考えると。」

「…………。」

「彼氏、いるの?」

「…………うん。」


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