雲凪番外編[緊急お見合い2]







言い訳をしようと骸が身を乗り出そうとした時、チャイム音がした。
どうやら2人が到着したようだ。




「…くれぐれもお願いしますよ。」

「はいはい。」

雲雀は面倒臭そうに話を切る。
そんな雲雀を睨みながら、骸は部屋を出た。

心配と不安。
骸が凪の未来を考えていると、長い廊下で凪とツナに出会った。




「よ、骸。」

「綱吉君、
作戦2は感付かれました。」

「あーやっぱり?
さすが雲雀さんだよな。」

「骸様…。」

「とても綺麗ですよ、凪。
これは雲雀君に見せるのが勿体ないです。」

花柄の黒い着物
髪止めの赤いかんざし。
少し濃い化粧。

これなら文句はないだろう。




「無理言ってすみません。
では行きましょうか。」

「…はい。」

お互いに軽く挨拶を済ませると、骸を先頭にして廊下を歩きはじめた。

実は、凪にもごり押しで雲雀との見合いを頼み込んだ。
もちろん凪は抵抗したが、よくよく考えさせたうえで、ようやくOKを貰ったのだ。

このお見合いが成功すれば、会社の未来や雲雀の将来を一気に解決できるかもしれない。
ツナと骸は共に焦っていた。




「骸、盗聴器は?」

「机の裏に。」

「気付かれて?」

「なさそうです。」

「そっか。
凪が嫌がったらすぐに仲裁だからな。」

「わかってます。」

後ろから囁く小さな声。
ツナの質問に、骸もひそひそと答えた。




「あ、綱吉君。」

「何?」

「凪の写真…見せるの忘れました。」

「おいコラ。」

「大丈夫…ですよね?」

「雲雀さんの基準は何だ?」

「胸が大きくて、抱き心地がいい女性。」

「警察呼ぶか?」

「そこらへんは雲雀君だって弁えてますよ…たぶん。」

「ねぇ君達。」

「あー、もうどうしたらいいんだ。」

「骸様…。」

「大丈夫です!
凪が雲雀君にセクハラされなければ い い ん で す、よ。」

骸とツナの足が止まる。
目の前には壁。
何故壁があるんだろうと振り返れば、殺気を放つ獣がいる。




「…新手の幻覚でしょうか。」

「骸、今回ばかりは現実を見たほうがいいかもしれない。」

「六道骸、誰がセクハラだって?」

「ボス、これ…。」

獣はトンファーを両手に構える。
一方凪は、さきほど骸が机の裏につけた盗聴器をツナに差し出した。




「こんな小細工、僕が気付かないとでも?」

「あの…ボスと骸様をあまり傷つけないで…。」

「ふーん。」

「綱吉君、初対面で意外に良い雰囲気にはなったようですが。」

「俺らにとっては最悪な事態、だな。」

「咬み殺す。」

雲雀の屋敷にて、
大規模なケンカが始まった。
立派な屋敷が木っ端微塵になるぐらいの破壊音。
この間骸が障子に指を突っ込んだレベルではない。
獣のように食らい付いてくる雲雀は、やはり人間ではないと改めて悟った。



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