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いつまで経っても投げるのをやめない骸に対し白蘭は耐え切れず、近くにあったモップで応戦する。
そして骸の両手首を掴んで一時停止させた。
「ッはぁ、はぁ。」
「だから、落ち着いてって。」
キッと睨んでくる骸を余所に、白蘭は片方の手でモップを壁にかける。
これが男女の力の差。
いくら戦い慣れているとはいえ、年をとればその差は広がる一方だ。
「長風呂もいいけどさ、心配するから程々にね。」
「は‥い。」
「うんいい子、じゃぁ…。
っ!」
「な、ぁ?!!!」
「ちょ、むく……。」
「きゃぁあああああーーッッ!!!!」
馬鹿!この変態!と骸が叫ぶのも無理はない。
腕で挟みながら羽織っていたバスタオルが床に落ちてしまったのだから。
なので骸は白蘭に見せ付けんばかりの全裸姿である。
そして、一瞬遅れて白蘭は骸を包むように抱き締めた。
見てない、自分は何も見てないから!!
そう自分に言い聞かせておく。
が、脳裏にはしっかりと焼き付いてしまっていた。
「‥ぅ……ッ」
「え?!
なっ骸君、どうしたの!」
羞恥のせいか、骸は白蘭の胸で泣いていた。
自分の気にしていた体を見られた、しかも1番見られたくなかった人にしっかりと見られてしまった。
頭の中でリピートされるのは後悔ばかり。
プライドが高い骸にとって、人を自分のテリトリーに入らせたのは最大の屈辱だった。
「……骸君。」
「ャだっ……う、くっ、ぁ。」
プライドも何もない。
そう感じた白蘭は、ただただ骸の背中を叩く。
ぺちぺちという音が部屋に響き、たまに聞こえる自分を呼ぶ声に応えたりした。
少し小さめの胸にウエストは細い。
足も長く、文句無しの体だとは思う。
「びゃ、く……びゃくら…んッ」
「何?」
「ッきら、いに‥‥なり、ました‥っ?」
わんわん泣いている骸は、自分の体を見たせいで白蘭に嫌われたのかもしれないと感じた。
が、白蘭はそんなくだらない理由で人を決め付ける程馬鹿じゃない。
「何言っちゃってるの、僕が骸君を手放すわけがないでしょ。
昨日初めて会って“好き”だなんて馬鹿みたいだけどさ。」
「ん、ふぁ……。」
「しかも同盟会社であるボンゴレ様様に何かしたら、それこそ失礼極まりないよ。」
まぁ現時点で泣かせてしまったのはちょっとマズいかもしれないけれど。
泣き続ける骸に、このままじゃ終止符は付かないだろうと思った白蘭は静かに上着を脱いで骸の肩にかける。
微かに重みを感じた骸は白蘭のワイシャツを掴んで深呼吸をした。
泣き止まないかと思いきや、落ち着いてきた目の前の人物に一安心。
「はぁ…、ッぁ。」
「やっと落ち着いた?」
背中を軽く叩いてやれば、頭を白蘭の胸にうめてきた。
そろそろと多少たじろぎながらも首に手をまわしてくる。
その際乳首同士が擦れ合ったようで、骸は顔を真っ赤にさせた。
「んッ……。」
「ちょ、密着しすぎだから。
欲求不満なのはわかったけど…ね?」
「……白蘭。」
「ん?」
「お願いします‥。」
「‥‥‥。」
「……して、ください。」
「………………。」
白蘭の中で何かが切れる音。
ちょっとこの状況はベタな展開かもしれないけれど、白蘭も我慢の限界だ。
骸の顎に手を寄せて噛み付くような深いキスを贈る。
「ン……ふ、ッぁ。」
水音は耐えない。
骸を床へ押し倒し、羽織らせた上着に手をかけた。
服と肌が擦れるだけで声をあげる骸を可愛いと思った自分はもう末期で、最後までやってしまうんじゃないかと思ってしまった程だ。
「っん、ンぅ…ぁあ。」
「じゃ、手始めに虫除けでも付けようか。」
白蘭が骸の首筋に唇を寄せようとした。
その瞬間、
「ぁ……ン、」
「あ。」
「え、あ!「ッ失礼しました!!!」」
「………っ!!」
「あ、ちょ!
君たち……って、」
次の瞬間、白蘭は骸の平手打ちをくらった。
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