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「はぁ…。
最近の子って…どうしてバカばっかりなんだろ。」

ネクタイを外し、ワイシャツのボタンを3つ開けたら、疲れて何もやる気がない証拠。
ミルフィオーレ株式会社の総大将である白蘭は、髪の毛を掻き上げながら夜道を歩いていた。




「はぁ………。」

最近の悩みの種は社員たち。
近ごろの社員は頭脳も行動的も欠けている人間ばかりで、今日は1人の社員によって同盟会社を潰しかねない事態が起こった。

何でそんな軽はずみな行動をするんだ、そう怒鳴ってやりたいぐらいだった。




「正チャンには悪いことしちゃったな…。」

このまま笑顔で仕事をしても、もう限界。
仕事の繋ぎ役は幹部である正一に任せて、白蘭は会社を抜け出してしまった。
おそらく、今は血眼になって仕事を繋いでいるに違いない。

万が一呼ばれたらお土産を持って行こう。
そう考えながら、白蘭はあくびをする。




「…もう眠いや。
このままホテルにでも泊まっちゃおうかな…。」

ちらりと腕時計を見ては、街灯で輝く街中を歩く。
どこか良いホテルは無いか探していると、女性2人が白蘭に近づいてきた。




「ねぇ、寄っていかない?」

「今の時間なら色んな子を指名できますよ。」

「……………。」

一般人および店の子に声を掛けられたのは今日で何人目か、もう忘れた。
白蘭が歩くたびに色々な人間から「遊びに行こう」とか、「寄ってって」と言われる。

疲れている時に声をかけられると、相手を消し去りたいぐらいイラついてくる。
でもそこで社長のプライドが理性を宥めた。




「まぁ……、
日付が変わるまでなら、ね。」

気休めぐらいにはなるかな。

白蘭がそう答えると、女性たちはキャイキャイとはしゃいで白蘭を誘導した。
白蘭は女性に誘われるがまま、派手な色合いのクラブの中に入っていく。

こんなことをしている間に、部下が倒れたらどうしようか。
そんな事も考えながら、白蘭は酒に呑まれないように自分に言い聞かせた。


































――‐‐……‥‥‥



それから他愛のない話をして、酒を飲んで、気付けば門限を越していた。




「あー、もう2時じゃん。」

痛いことやられたな、と白蘭は思った。
何せ門限より2時間もオーバーしているのだから。
これでも完璧主義者である白蘭にとってはらしくない行動。
だが、さっきまで一緒に飲んでいた女性達は皆ナイスバディで悪くはない。




「気休めどころか逆に緊張しちゃったよ。」

ま、結果的に口説かれる前に逃げてきたからいいんだけど。


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