期待の二乗







「ん、どうしたんだツナ。
こんな真夜中に。」

「っジオ…。」

ジョットの姿を見た綱吉は安心した。
いつも見ている顔、いつも自分を優しく抱き締めてくれるスーツに纏われしその体。
何度見ても変わらない、いつものジョットだ。




「…仕事は、まだ‥おわらないの?」

「あぁ、最近物騒な事件が多くてな。
万全の態勢でこちらが構えていないと解決しないんだ。」

「…そう。」

綱吉の気の抜けた返事にジョットは違和感を覚え振り返る。
が、綱吉の姿はない。
開かれたままの扉を後に、綱吉はペタペタと裸足で自室まで歩いて部屋へと戻った。
そしてベッドに滑り込み、布団を頭から被って寝ようとする。




「……………。」

だが、どうにも寝れない。
原因はきっと先程まで(ついうっかり)見ていたホラー番組だ。
嘘のような話をリアルに映像化された番組だった。
目を閉じるとその映像がフラッシュバックしたかのように映し出される。
それで寝れていない。

明日は…と言うより深夜12時を過ぎているのでさっきまでの明日は今日なのだろう、もう午前3時だ。
こんな時間まで仕事をしているジョットもどうかと思うが、今はそれどころではない。
明日、というか今日はジョットと一緒に修業しに行かなくてはならない日。
その約束は破りたくはないが、不眠の状態だと修業に身が入らず逆にジョットに対して失礼だろう。
だから必死に寝ようとするが寝れない。




「…………うーっ‥。」

あまりのリアルさに恐怖を覚えていた時、布団が剥ぎ取られた。
突然の出来事にツナはビクビクしながらも勢い良く振り返る。
同時に、綱吉にどうかしたのかと様子を伺いにきたジョットが前かがみになって綱吉を見ようとする。
振り返ったと同時に、前かがみになったと同時に2人の唇はお互いに重なった。




「ン?!」

驚いた綱吉はすぐに引き離そうとするが、綱吉の後頭部に添えたジョットの手の力には及ばず、ジョットのされるがままに舌を出す。
ジョットの舌の動きに合わせて唇の先端からいやらしく出てくる唾液は綱吉の顎に伝う。
ようやく離されたと思いきや、今度は力強く抱き締められた。




「ジ、オ…?」

抱き締められたまま髪を撫でられ、まるで赤子に触れるかのように優しくベッドの上に寝かせた。
キスの熱に溺れ、トロンとした顔と思考が定まらない頭で綱吉はジョットを見つめる。

そして綱吉の体に布団がかけられ、今まで寝れずにいた時間が長かったせいか急激に睡魔が襲ってきた。
最後に見たのは微笑むジョットの顔と声。
もしかしたら一緒に寝られる、という淡い期待はハズレだったけど、さっきまですぐ傍にあったジョットの鼓動と温もりで綱吉はようやく眠りについた。




「またあとで、綱吉。」









そして朝、
起きたら隣で服を着ていないジョットが寝ていたのを見た綱吉は、ひどく焦りながらベッドの上で騒いでいた。








08.03.25
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