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※雲雀♀、教師×生徒パロ注意






夜遅くまで学校にいるのは、別に学校に執着しているからじゃない。
忘れ物をしたから戻ってきただけで、もちろん悪気もない。
でもこの学校はそれを許してはくれない。


だから今日も、
警備の風紀委員に見つからないよう夜中の廊下を駆け抜ける。








She's my student










「ッ‥‥ヤバっ」

ディーノは足を止めて物陰に隠れる。
すると懐中電灯の明かりと足音が近付いてきた。




「……………。」

すぐに隠れて気配を消したおかげか、風紀委員はディーノに気付かず、そのまま階段を降りていった。

物陰に隠れていたディーノは、ふーと息を吐いて心を落ち着かせる。
そして再び廊下に出た。




「今日の警備は2人か‥。」

だが、校内で恐れられている人物はいない。




「まぁいいか。」

ディーノは額の汗を腕で拭いて心を落ち着かせる。
そして風紀委員を警戒しながら、足音を立てず慎重に歩く。

今回の目的は、職員室に置き忘れた書類とノートを取ってくること。
しかし校内には一晩中、風紀委員による警備が行われているため、今回の目的は安易に達成できない。
なのでディーノは綿密な計画を立てたうえで校内に侵入していた。

しかしこの学校には、警備係よりも恐ろしい存在がある。




「魔物か…。」

それは風紀委員を束ねる総大将、
最強の女子生徒である雲雀恭弥のこと。

雲雀が現れるのは、
校則を破った者がいる時や、人の群れがある時。
風紀委員は年中無休で動く組織なので、一時も油断ならない。




「…………。」

そして今、
忘れ物をしても夜間の校内を入るなという校則を破った教師がいる。
これは今日が雲雀の担当でなくとも、後に直々の鉄槌が下される確率が高い。




「早く行かねぇと。」

ディーノは自分の状況を再認識し、耳をすませる。
警備の足音が上の階に行ったことを確認すると、ディーノは廊下に出て職員室のドアの前に立った。




「よし。」

職員室の鍵は入手済み。
警備は上。
もしバレたら職員室の窓から逃げればいい。

取りに行けるのは今しかない。




「……っ…。」

ディーノは鍵をゆっくりと差し込み、そして慎重に回す。
だがカシャンという鍵の開いた音が廊下に響いてしまった。
しかしディーノは慌てる様子もなく、そのまま職員室の中に入った。

風紀委員が来る前に再び鍵をかければいい。
これも作戦のうちなので、ディーノは慣れた手つきで鍵をかけた。





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