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ディーノが考え出した案とは、雲雀を男に興味を持たせることだった。
そうすれば女としての限界を自覚できるし、何より無茶な戦いをしなくなる。
結論的に、
その男代表がディーノになる。
「やっぱ柔らかいな。」
「変態。」
「変態で結構。
これは10代の特権なんだぜ?」
ディーノが雲雀の手を取ってそっと握る。
雲雀の手は細くても女としての柔らかさがあった。
すると雲雀が顔を上げてディーノと目線を合わせてきた。
そして目をゆっくりと閉じる。
「生意気。」
ディーノはフフっと笑うと、雲雀の顎に手を添えて頬にキスをする。
「今日はそっちなんだ。」
「恭弥はどこにしてほしかったんだ?」
「…………。」
「悪い悪い。
そんな目で睨むなって。」
ディーノは雲雀の頭を撫でながら謝る。
昨日は唇だったから今日は頬にしたかっただけなのに。
しかし、ディーノが理由を話しても雲雀は納得しない顔をしていた。
「貴方のペースで決めないで。」
雲雀はディーノのネクタイを掴み、背伸びをした勢いで唇を重ねた。
今回は音もなく、静かに重なる。
そして一瞬で終わった。
1回キスをした仲だからといって、ここまで積極的になるのは想定外。
これは俺がどうもしなくても年相応の乙女心は持ち合わせているんじゃ、という考えがディーノの脳内を過る。
「お前、
男経験が無いとか嘘だろ。」
「嘘じゃないよ。」
「本当か?」
「この際はっきり言うけど、
こんなことするのもされるのも貴方が初めてだから。」
「…………。」
「確かめてみる?」
雲雀はニヤリと笑って、ディーノのネクタイを掴んだまま後ろのソファーに倒れた。
それに続いて、ディーノも雲雀の体の上に倒れる。
「っつー……。」
この強引な誘い方、
まるで男好きな商売女のよう。
困った顔をするディーノを見て、雲雀は嬉しそうな笑みを浮かべていた。
ここまで誘われれば、さすがのディーノも自分の欲のまま動く。
だが今は学校。
しかも相手は自称処女。
やはり最後までやるにはリスクが大きすぎる。
「生徒に手を出すのは怖い?」
「まさか。
キスまでやっておいて後悔はしてないぜ。」
「じゃあ、」
「そういう所が子供なんだ。」
今ここで欲のまま動いたらどうなるか、自分の未来の想像は容易い。
生徒に嫌われるのは良いが、社会から嫌われるのは御免だ。
「もしお前がその気なら、
明日は休学にして今夜俺と一緒に来い。」
そしたら、たっぷり可愛がってやる。
ディーノはそう言って、ゆっくりと顔を近付ける。
唇に、と思ったがディーノは雲雀の額に軽いキスをした。
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