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ふと自分の手の中を見れば白蘭から貰ったマシュマロがある。
今食べてしまえば恭弥に咬み殺されるのは時間の問題。
しかしこのまま持っていてもどうしようもない。

よくよく考えた結果、綱吉は咬み殺されるのを覚悟で食べることにした。




「いただきます。」

口に入れると高貴な匂いがふんわり漂う。
どうやら今日の白蘭は紅茶という気分らしい。
美味しいので1つ、また1つ口に入れる。
お菓子は別腹というのは本当らしく、綱吉はあっという間に完食した。




「美味しかったです。」

「それは良かった。
最近遅刻してないご褒美だよ。」

「あぁ、それは担任のお陰ですよ。」

「骸君の?」

「はい…。」

綱吉は深くため息を吐いた。
担任である骸は、ダメツナを直すため綱吉を容赦なく指導している。
遅刻をすれば(勝手に)人の夢に出てくるし、5分前の登校でも欠席扱いされた。
そんな骸のクラスになってから、綱吉は必死に起きるようになっている。




「そんなスパルタだったんだ。」

「でも今は穏やかなんで、もう白蘭先生には感謝してますっ」

綱吉にとって修行のような日々が続いていた時、救いの神が現れた。
新任としてやってきた白蘭は、どす黒かった骸をあっという間に白くした。
過程は秘密らしいが、恐らく白蘭の包容力のおかげだろう。
現に今、真面目なことから下らないことまで付き合ってくれる白蘭に、綱吉もなついている。




「成績が悪くてもネチネチ言わないし、テストの平均を越しただけで褒めてくれる。
あそこまで人間を変えられるなんて凄いことです!」

「そんな大袈裟な。」

僕はただ、骸君に接してただけだよ。




「あ、それでちょっと聞きたいことが…。」

「ん?」

「先生って担任のどこが気に入ったんですか?」

俺、全然わかんないんですけど。




「んー……なんだろ。」

「…………。」

「すぐには答えられないけど、
僕の直感かな。」

「直感?」

「そうそう。
初めて会ったときから何かがピーンときたんだよね。」

「結構アバウトなんですね。」

「フフ、これは秘密だよ。
あとは……、」

白蘭が言いかけた時、2人はとてつもないオーラを感じた。
気付けば辺りは静かで廊下には綱吉と白蘭しかいない。

これはどういう事かというと。




「よかったね。
今日は早退できそうだよ。」

「でも痛いのは嫌いです。」

「あれ、以外と冷静じゃない?」

「こうなるのを覚悟でマシュマロを食べたんで。」

「そっか。
なんかゴメンね?」

「いえ、後でジオに慰めてもらいますから。」

2人してやれやれと思いながら後ろを振り向く。
案の定、予想していた人物がトンファーを持って、容赦なく綱吉と白蘭に襲いかかってきた。





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