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チャイムが鳴り響く。
午前の授業が終わり、昼休みになろうとしていた。
廊下を走る音や人の話し声。
そして窓ガラスが割れる音と、人の悲鳴が聞こえた。




「またあいつか。」

ディーノはホースの水をプールサイドに撒き散らす。
校内のプール掃除は毎年運動部がやるはずだが、その指揮官が行方不明のため手の空いている教員に回ってきた。
指揮官は白いだけあって目立つのに、肝心なときに限って上手く隠れる。

生徒会長の話では、保健室のベッドで熟睡しているらしい。
だがディーノは叩き起こしに行かず、プールの掃除を喜んで引き受けた。




「ま、掃除っていっても水遊びだしな。」

約1年の垢を落とすのは力仕事だったが、汚れても頭から水を浴びれるし虫は苦手ではない。
それに授業2時間分をかけて綺麗にできた時の嬉しさが異常だった。




「‥‥‥‥‥。」

静かに揺れる水面。
まだ誰も入っていない。
自分は下着まで濡れている。
プールの周りには木が植えてあるし、学校の横にあるから人には見えない。
そして風紀委員は校内。




「よっしゃ!」

ディーノは上に着ていたTシャツを脱いで準備体操を行う。
手首や足首を念入りに回して気合いを入れた。

そして勢いよく飛び込もうとした、その時。




「常識知らずだね。」

「だぁああ!!!」

足を強く引っ掛けられる。
ディーノは見事な宙返りをしてプールに落ちた。
しかし垂直に落ちたので、さほど水しぶきは立たなかった。




「っぷは!!」

「案外器用なんだね。」

「お‥お前なぁ。」

ディーノを見下ろすのは風紀委員長の雲雀恭弥。
水面に叩きつけられると思っていたが、上手く落ちたことによって想定外なことが起きた。




「プールの飛び込みが禁止なのは常識だよ。」

「わかってるっつーの。
でもたまにはやりてぇだろ。」

「さぁね。
僕はプールに入らないから。」

「……………。」

「……何。」

「さっきの窓ガラスが割れたのって恭弥の仕業か?」

「そうだよ。
違反者5人を咬み殺せたのは久しぶりでね。」

「じゃぁもう運動はしてるって事だな。」

「まぁね。」

ということは、準備運動はもう終わったと考えてもいい。
ディーノは1回プールサイドに上がり、恭弥の学ランを脱がせる。
そしてトンファーも没収。

しかし恭弥が大人しくしているわけもなく、ディーノの鳩尾や脛に蹴りを入れて抵抗していた。




「いだだだッ
髪の毛引っ張んな!」

「じゃぁこれがどういう事か言ってみなよ。」

「そんなの…言わなくてもわかるだろ?」

「なっ」

恭弥の体が浮く。
突然持ち上げられたので、思わずディーノの髪から手を離してしまった。
そんな恭弥にディーノはニッと笑って見せた。



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