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登校時間になると、校門前には風紀委員が立っている。
半分は風紀を乱すような輩がいないか見張るため。
もう半分は委員長の退屈しのぎ、というのは暗黙の了解となっている。
そして本日、
最初に捕まったのは。
規制を破いても構わない
「そこの金髪。」
「俺か?」
「君でしょ、近頃無断欠席をしているのは。」
「無断?」
風紀委員長である雲雀恭弥に捕まったのは、生徒会長であるジョット。
どちらも校内では1番を争うような権力者である。
そんな2人が朝から何をしているのか。
そしてこれから何が起きるのか。
登校している周りの生徒達は、にらみ合う2人を視界に入れず素早く校内に駆け込んでいった。
「おかしなことを言う。
ちゃんと欠席の理由は連絡しているだろ。」
「気分じゃないから1ヶ月休む、というのが理由かい?」
「何か問題でも?」
「君、仮にも生徒会長でしょ。」
「風紀委員を牛耳れる程のな。」
「……………。」
恭弥はピクリと反応する。
束縛という言葉が嫌いな恭弥にとっては、今の言葉は最大の屈辱だった。
「…その減らず口も相変わらずだね。」
「お前の可愛くない面もな。」
「僕は君が嫌いだ。」
「奇遇だな。
俺もお前は嫌いだ。」
お互いの気持ちをぶつけ合うと、恭弥はトンファーを持って構える。
ジョットを今まで何度も咬み殺そうとしたが、毎回邪魔が入ってできなかった。
だが今日こそは、
「君をズタズタにできる。」
そう言った瞬間、ジョット目掛けて腕を振り下ろした。
だがスルリと避けられてしまう。
「勘弁してくれ。
今日は跳ね馬に用があって来たんだ。」
「わぉ、やっと退学する気になったようだね。」
「冗談じゃない。
お前みたいなのを残して立ち去れるか。」
「だったら何の用?」
「さぁな。」
「………………。」
「それに、今日はここまでのようだ。」
「何を言っ…!」
「やっと見つけた。」
恭弥が後ろを振り向くと黒髪の青年が立っていた。
しかも握られていたトンファーがいつの間にか没収されている。
一瞬戸惑った恭弥だが、また後ろを振り向く。
しかしジョットの姿はどこにもなく、どうしょうもない苛立ちが恭弥に残ってしまった。
「…何しにきたの。」
「今更だよ恭弥。
僕の弟なら言わずともわかってるでしょ?」
「知らない。
不法侵入者が何でここに、」
ふと視線を変えると、さっきまで登校を監視していた風紀委員の人達が倒れている。
「手応えはいまいちだったよ。」
恭弥の兄である恭は、よく学校に来ている。
黒髪と鋭い目付き、そしてこのオーラ。
一緒にいると兄弟というのは一目瞭然だろう。
恭は、恭弥のトンファーをくるくる回しながらあくびをした。
だが弟の苛立ちに気付いたのか、恭の大きい手が恭弥の頭を撫で始める。
これは昔からやってきたこと。
何年も兄弟をやっていれば、弟を慰めるなんて造作もない。
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