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僕の全てを壊し、懐かせ、そしてまた壊した。

告白は突然。
『盲導犬はね、』




躾が終わったら、実家に帰るんだよ。




「………ッ…。」

最初は意味がわからなかったが、白蘭の話が終わったとき僕は何をしたか覚えてない。
我に返って初めに感じたのは鋭利なもので切った指の傷痕。

自分に罪は無い。
僕はただ、




「…確かな愛を感じただけです。」

なのに誰もが騙されたんだと説得しに来る。
だが内心は軽く笑っているにちがいない、今の自分にはファミリーでさえ信頼できずにいた。




「……っはぁ…ン。」

貴方なんかキライ。

放っておかれた体は白蘭を求めて何度も感じる。
何をしていても後孔がまた疼き、あの熱帯夜が鮮明に蘇る。

今日は5回。
まだ昼だというのにどうしても止まらない。
後孔へ指を出し入れし、多種多様のバイブを使って違う快楽を味わっていた。
ペニスの先端に振動するバイブ、後孔にはくねくねと曲がるバイブで満たされている。

別れたあの日から、ベッドの上でただひたすら快感を求めていた。




「ッは…ァあ、ぁっ」

白蘭に見捨てられたのは、相手にとって不要な存在になったから。
魅力の薄い自分に腹が立つ。

悔しさと虚しさから、骸は唇を噛んでペニスを扱き始めた。
先端にはバイブ、それに手の摩擦が加わって大きな快楽に溺れる。
時間が経てば経つほど悲しくなり、骸はこの自慰で白蘭とは縁を切ると心に決めた。
パーティーの招待状が届いているので、そこで新たな恋人をつくろうと考えている。




「っぁ、あッ‥ひぁッびゃ‥ぁンっ」

白蘭、
と言おうとしたが口を接ぐんだ。
彼の名を呼べばいつも通りのキスがくる。
はずだったのに。

やがてバイブが白く塗れたのでスイッチを止めた。




「は‥ァ……ぁ、」

虚しい。
寂しい。
恐い。

別れてから初めて気付くことも、この世には確かに存在した。
ドラマのような展開に興味すらなかった自分にとって、教訓がまた1つ増えた気がする。

この場合、自分だけでなく相手もこの悲しさを感じているはず。
確かめたくて電話をかけているのに白蘭は出てくれない。
ついには電話の番号が存在しないと言われた。

これは即ち、
もう2度と会わないという暗示。




「…キライ。」

つけられたキスマークは数日も経てば消える。
指輪なんて貰っていないし、キスマークが消えれば愛し合っていた証拠が無くなる。




「貴方なんかキライ…ですよ。」




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