チョコリップ





※新婚ネタ注意。





「できた!」

我ながら傑作。
題してチョコチップとマシマロ入りアイスパフェ!
これ骸君に黙って作ったんだよね。
だから証拠隠滅のためにすぐに食べないと。
また「勝手に食材を使わないでください!」って説教されるから、軽く50分ぐらい。
本当、お金にうるさいから注意しないと僕の私生活に問題ができるからさ。
罰金とか罰金とか罰金とか!




「結構お金は稼いでると思うんだけどな。」

私欲で使うお金なんて貴方なんかにあげません、と妻に忠告された夫。
でもちゃっかり仕事場で貯金してるのは秘密。

骸を手に入れてから数ヶ月が経つが、出会ってから全然変わらない。
いつものように起きて食べて仕事して寝て、もう少し新婚らしい場面とかあってもいいんじゃない?
ということで、作戦を練る前に腹ごしらえ。




「ではでは!」

リビングには自作のパフェ以外に紅茶とスコーンなども用意した。
たまには1人でパーティーをするのも悪くない。




「いっただっきまー……。」







































「ぁ……。」

「……………。」

背中に悪寒が走ったため、すぐ視線を変えると隣に骸がいた。
パフェに夢中になっていたので全然気が付かなかった白蘭は、スプーンを持ったまま固まる。
対して骸は白蘭が用意した紅茶を飲んで、鋭い視線を向けていた。




「…いつから?」

「ずっといました。」

「仕事‥夕方までって言ってなかった‥‥?」

「いいえ。」

「あぁ、そう。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「……………食べる?」

「いりません。」

ですよねー。

きっと遠回しに嫌味でも言われるのだろう、そう予測していたが無言の方が辛い。
だがパフェと言えどもアイスなので溶ける前に食べようと、白蘭はそのままスプーンを口に運んだ。

あ、チョコチップは入れて正解。
マシマロにもよく合うし、今度はシャーベットでやってみよう。
まぁできるかどうかわからないけど。
ってか紅茶が無い!
まったく、飲むなら自分でやってよね。




「なんだかんだ言って、僕のアプリコット好きだよね。」

「寝言は寝てから言うものです。」

「つれないなぁ。」

白蘭はマグカップを持ってキッチンへと向かう。
骸にはもう少し素直になってもらいたいが、絶対「僕はいつでも言いたい事を言ってますから。」なんて言われるのがオチ。

お湯を注いでリビングへ戻っても骸が話し掛けてくるわけではないので、本当に結婚する前と変わらない。
夫婦の会話を大切にしている白蘭にとっては、この変化が欲しい。




「よいしょっと。」

新婚で気まずいのは初夜の時だけでしょ?

汗をかきはじめたパフェのグラスをタオルで拭く。
アプリコットはさりげなく骸側に置いて、再びパフェへと手を伸ばした。

が、違和感を感じる。




「…………。」

あれ。
なんかチョコチップだけ綺麗に無いんですけど。

色々なアイスに混ぜたり、マシュマロとアイスの間に挟んでいたチョコチップが、無い。
心なしか、量も少ないように見える。
ちらりと隣を見れば唇にチョコがべったりくっついてる骸がいた。




「可愛いね骸君。」

「ぶっ飛ばしますよ?」

「まぁとりあえず、君のボケを拾うからキスさせて。」





(結局美味しかったんじゃん)



フリリク企画に提出。

10,07/01[更新]
10,06/01[完成]
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