hearty winter







「ただいま。」

「…おかえりなさい。」

きゅ、と抱き締めた体が冷たい。
暖房は入れといたはずだけど、そう問えば骸は無言で擦り寄ってくるから頭を撫でておいた。




「貴方の温度を感じたかったんです、みたいな?」

「だとしたら笑いますか?」

「ううん、照れる。
でも寒いから暖房はつけといてね。」

ピピッという音がすれば暖かい風が吹いてきた。
とりあえずソファーに座った白蘭の近くに行けば、抱き上げられて白蘭の腿の上。
この態勢は何をしてもいいという事なので、好き放題やる。
ハグやキスは当たり前で、主におしゃべりを楽しんだりしている2人。
性感帯なのか定かではない髪の毛に触れられたりすると、心地よくて鳥肌がたつのは最近知った。




「ん……。」

「気持ちいいんだ。」

「白蘭…。」

「んー?」

「ベッドに行きたい…です。」

「寝不足?」

「はい…。」

「シャワー浴びた?」

「……………。」

「冷えたら意味無いじゃん。」

「後で貴方流の運動でもするんでしょう。」

「うーわ、
ロマンを理屈で返したよ。」

人肌が恋しい季節なんです、って言うのかと思ったのに。
残念。

白蘭はぶにーと軽く骸の頬をつまんで何も言えなくする。
(あ、おもしろい顔。)
すると不服そうな目になってきたので、機嫌が悪くならないうちにベッドまで運んだ。

扱い方が難しいんだってば。




「でも起きててくれたのは嬉しいかも。」

「僕には昼夜関係ありませんから。」

「……………。」

そうぶっきらぼうに言われたセリフは切ない声。
怪我が治るまでの時間と今現在まで監禁されている時間を足しあわせたら、かなり太陽に当たっていない。
これは気が狂ってしまう、白蘭はそう考えた。




「やっぱり太陽が恋しい?」

「さぁ、どうでしょう…。」

「とりあえず体内時計は直そうか。」

「ンん……。」

口いっぱいに肉の塊を含むのは慣れたもの。
白蘭はキスもセックスも気分でするので解釈は難しい。
だが骸にとってはどうでもよく、もっとキスもしたいし早く触ってほしいと願う体。




「はぁ…見た目によらず、熱いです…。」

「僕が?」

「他に誰がいますか。」

「そっか。
僕としては骸君の方が熱く感じるんだけどね。」

「お互い様です。」

強く抱き締め合うたび、ベッドがギシギシと軋む。
ベッドの上でイチャイチャしていたら、突然パソコンにメールがきた音。
白蘭は一瞬だけ視線をパソコンに向けたが、すぐに骸の方を見てニコリと笑う。




「今は骸君が大事。」

「ん…。」

「これで嫉妬する君もなかなかだよ。」




(貴方の夢の中)
(飛んでゆきたい)



09,11/15
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