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※♀骸、パロディ、裏注意。
誰かに誘われても知らん顔、
あまり笑いもしないその感じが好き。
時間を掛けてゆっくりゆっくり落としていく。
Movin' on
暗闇に輝くのは夜の街。
いつだったっけ、彼女がこの店で働き始めたの。
骸は店主のお気に入り。
門限有りの焦らしは頂けないが、時間内に触れられる白い体に白蘭は毎晩毎晩誘惑されていた。
そりゃもう大層な美人だから周りの人間をも惹きつける。
だから早く自分のものにしたい。
誰かに追い越されないように、誰かに触られないうちに。
「まだ遊びだと思ってるでしょ。」
アルコールの上品なにおいが絶えない空間。
氷が溶けるカランという音、グラスは水滴でぐっしょり。
そんなグラスを骸はタオルで拭いている。
そんな2人の世界、骸は白蘭の口説きを鏡のように反射させて跳ね返す。
「生憎、僕には未来の夫もいますので。」
そう、唯一の欠点はそこ。
いつもの愛想笑いをして遠慮無くキスを送ると静かに目を閉じて、白蘭の思い通りにさせている。
この唇が他の誰かのものになる日がすぐそこに。
独占欲は裏目に出ることもある、最近わかってきたかもしれない。
現に今、本当に腹立たしい。
君がここに来たときから未来が決まってたなんて。
「ン…はぁ……。」
「うん、御馳走様。」
「相変わらず…お上手、ですね。」
「そう?」
ポーカーフェイスの骸が溺れる瞬間の瞳、トロンとしていて今すぐにでも後に押し倒したいぐらい。
これでも骸との距離は縮まったと思う。
抱き締めたりキスしたり、ある程度のスキンシップもやった。
1回だけ軽く性交もやった。
以前ならはたき落とされているだろうが、今は違う。
あの時本気を出せば旦那に打ち勝ったかもしれないけれど。
「それじゃぁさ、」
僕の本気、味わう?
冗談混じりで言えば目の前にその気の美女。
肩から腕にかけてドレスの細い紐を解かして充実した白い胸を見せる。
プラス上目遣い。
誘われてる、けど今はここまで。
ママもこっちを見て警戒してるからね、通報されたら一貫の終わりだよ。
「…冗談だから、またいつか。」
「おや、今日は随分と早いんですね。」
「君の旦那さんとやらを見たからもう充分。」
「ぇ?」
「婚約を目前にした2人を邪魔するほど、空気の読めない人間じゃないんで。」
「……………。」
「まさかバレてないとでも?」
「浅はかでした。」
「ううん、別に。
骸君とは会えて楽しかったから不満はないよ。」
「…もう……ここに来ないのですね。」
「あんだけ痛い視線を刺されちゃね。」
「そう、ですか。」
「……………。」
しゅんとする骸。
ここまで自分に惹かれさせたなら悔いはないだろう、白蘭はうんうんと頷きながら泣きそうになるのをこらえて、また別の場所で飲み明かそうと立ち上がる。
うわ、絶対夜泣しちゃうよ。
が、骸も一緒に立ち上がって白蘭の目の前に。
そっと白蘭の手をとれば、外気に触れただけで赤く熟した乳首をつねるように促す。
「っ」
「ァ…ふ、ぁ…。」
「ダメだよ骸君、見つかっちゃうって。」
つつ…と骸の敏感な太もも付近を指でなぞれば乱れるのは呼吸。
そして白蘭の思考回路も。
今はダンスタイム。
派手な音楽にママも旦那さんも、ダンスに夢中で雰囲気に酔い痴れている。
でも確認できたのは1瞬で、あとは人混みの中に溶け込んでわからなくなった。
もし出るとしたら、タイミングは今しかない。
「ぁ……。」
「物足りないでしょ。」
「ん…。」
淫乱で敏感な骸君には僕の甘さが調度いいと思うけど。
僕の提案に少し戸惑う君が可愛くて、早く彼女の柔らかい奥に熱を放ちたい。
欲に急かされた僕の指は彼女の秘孔へ。
布の上からくりくり爪で引っ掻けば彼女の腰も揺れて、次第に水気が混じってきた。
まったく、期待通りの躰で嬉しいよ。
「でも、君が踊るのはここじゃないからね。」
白蘭が手を差し伸べれば火照った小さい手を出してくる。
骸の目にはもう白蘭だけしか写っていなくて、簡単に腕の中におさまった。
君が踊る場所はベッドの上。
君が酔い痴れるのは僕自身。
骸の肩を抱きながら静かに店を後にする。
ドアが閉まる際、彼女の指で輝く目障りなリングを外して店の奥に投げ捨てた。
シルバーリングなんて、もう意味がないよ。
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