Μoon







一夜限りの月の光。

全てを脱ぎ捨てて、
羽ばたく蝶になる。






艶やかに舞い踊るのが僕のスタイルですから。
何事も避けてかわして、跡を残さず綺麗に消えていく。
この体が終わるまで変わらない。
この世とは、本当につまらなかった。




「あ、いたいた。」

辺りを見回していた白蘭は、骸を見つけて近寄った。
毎回毎回、骸の様子を見に行くといつもかくれんぼをしている。
自分から白蘭を呼んでおいて、本人はどこかへ隠れているのだ。
棚の隙間だったりカーテンの裏だったり、でも今回はぐしゃぐしゃになったシーツの中。




「見つかってしまいましたか。」

「相変わらず狭いところが好きだね。」

「部屋が広すぎて落ち着かないんです。」

「まぁとりあえず、しわくちゃなシーツを綺麗にするからちょっとどいて。」

「1人でなんかしてません。」

「これでも綺麗好きなの。」

駄々をこねる骸を抱き上げて近くにあったソファーに座らせた。
ちょっとだけ遊びたい骸は白蘭の顔を引っ張って軽いキスをする。
だが襲い掛かろうともせず、白蘭はニコリと笑ってベッドに向かった。
これは焦らし、早く触りたいのにお預けなんて。




「いい趣味してますね。」

手でシーツを均していけばシワ1つないベッドへと大変身。
白蘭はベッドに座って骸の様子を伺う。
呼ばれていないに体が動いてしまうのは相当溺れているせい。
現に、骸は今白蘭の膝の上。
しかもお互いに向き合い、抱き締め合った。




「今日はどうだったかな。」

「やっぱり‥待たされるのは嫌です。」

「本当は?」

「‥‥‥‥‥。」

「外に出たいならいつだって出れるし、暇なら遊びに行けるじゃん。」

「‥‥‥‥。」

「素直になればいいのに。」

「僕に可愛さを求めても無駄ですよ。」

「どうせ重っ苦しいことを考えてたんでしょ?」

君の真偽なんてすぐにわかる、
白蘭が人差し指で骸のほっぺをプニプニつっつけば骸からのキス。
ちなみに本日2回目。

どうしようもない時は無言で白蘭に訴える。
そんな僕の癖までわかるようになってきたんですね。




「白蘭…。」

「ん?」

「お願いです。」

「うん。」

「生まれ変わっても、またこうやって抱き締めてください。」

再び巡り会った時は、同じ優しさで僕を愛して。

何回死んで何回生まれ変わっても、見える景色や人間は変わらない。
変わろうとしない。
場面は違えど、骸はいつものように独りで彷徨う。

だけど今回出会ったこの温度とは、また触りたいと思ってしまう。
熱くもなく冷たくもない適度なこの温度が好きになっていた。




「生まれ変わっても‥ねぇ。」

「はい。」

「そんなのずいぶん先の事でしょ。
もしかして君、せっかち?」

「なっ人が真面目に、」

「でも来世の話とかは骸君の方がよく知ってるはずだよ。」

「…………。」

「だったら君が僕を見つければいい。」

「ぇ?」

「僕らが何になっても、いち早く気付くのは君だから。」

次の時代の僕が、君と過ごした前世を忘れてたら思い出させてね。

わざと耳で囁き、雰囲気良くしてそのまま横に倒れれば問答無用に深いキスをした。
ふかふかのベッドに濃い影が2つ。
唇が離れても体や心、全てが白蘭を求めて目を閉じる。
ふと視界に入った月が隣でじっと見ているようで恥ずかしくなるが、今は白蘭への欲求が大きすぎた。
月を目の前に、骸は甘い声をあげて白蘭との繋がりを見せ付ける。


もしお互いに出会わなければ月が来世の僕らを導いてくれる、
そんな気がしていた。




(碧に染まる想い出たち)



KAT/TUN曲お題に提出。

10,01/12[完成]
10,02/01[更新]
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