SADISTIC LOVE






※骸♀、妊娠注意。










残酷なほどに美しいもの達







ADISTIC OVE
(誘え)
(明日は何処へ)











「思春期再来。」

「ン…っ」

「中二病とか懐かしくない?」

もう僕には無縁だと思ってたんだけどさ。

あとは大人の関係。
恋心を持つような季節は終わった。
そう決め付けていた白蘭にとってはどこか懐かしい雰囲気だった。
見かけただけで気分が高まったり、相手をいじったりして反応を楽しんだ事もいい思い出。




「周りからはサドとか鬼畜だとかしょっちゅう言われてたし。」

少し膨らんだ下腹部を見る。
自分には持っていない女の武器を目の前に、神秘的なものを感じてしまうのは自然なんだろう。
今だけは自分のもの。
今だけは父親として。
前の他人と結ばれた子を無理矢理中絶させてできたのは一方的な愛。

深い愛だから痛いくらいの支配をしたい。
闇しか見えない世界で出会った君を閉じ込めた僕は悪魔。




「辛い?」

「いいえ。」

「同情しないでよ。」

「失礼ですね。」

可愛らしいリップの音とも夜が明ければ最後。
例え自分達が愛の芽を植え付けたとしても、断ち切らなくてはいけない時期が来る。
そう理解していたはずなのに、骸の髪を撫でる白蘭の手は止まらない。

踊る君の影は幻のように消える。
どんなに奥深い場所に閉じ込めたとしても、必ず光が差し込みいつか君は逃げ出していく。




「未練がましいです。」

「ほら、中二病だから。」

「僕の人生を変えたのはどこの誰ですか。」

「本当に辛くなったら産まずに殺していいよ。」

「……………。」

「たぶん…産まれてきてもかわいそうだし。
それに、」

「その暴言は気にくわないですね。」

「骸君…。」

さらに前へ乗り出してふわりと白蘭に抱きつく。
首にまわされた腕よりも熱く感じるのは骸の腹部だった。

今ならまだ許される、
白蘭はただ抱き締め返して骸のにおいを感じた。




「遺言はやめてください。
いつ死ぬことを前提に妊娠したんですか。」

「……………。」

「また会うときまで指輪は付けておきます。」

「でも、」

「だからもうそんな顔しないでください。
その時は輪廻を廻ってでも会いに行きますから。」

「やっぱり泣きそうな顔してる?」

「えぇ、とても。」

「もう本当…最後に同情とかやめてよね…。」

「最後じゃありませんから。」

「そっか。」

明日の今頃はどんなふうに過ごしてますか?
たぶん、変わらないよ。



KAT/TUN曲お題に提出。

09,08/29[完成]
10,02/01[更新]
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