Keep the faith





小さな声で優しさ探し歩き、
疲れた羽でしゃがみこんでいる。











eep he aith
(You show me the faith)








「…………。」

「…………骸君?」

ぷつりと切れた糸。
長いキスの後はどこを見ればいいのかわからなくなるのが難点だ。

呼び掛けられても目線を合わせることができないのは自分がまだ青い証拠。
羞恥も後悔もしないと決めたはずなのに、まだ何かが引っ掛かる。




「最近、また考え事が多くなったんじゃない?」

「どうして?」

「顔が下向いてる。」

「……………。」

わからない。

自己分析というのは相変わらず苦手なものだ。
だけど、自分が気掛かりにするといったらボンゴレのことだ。

輪廻。
そんなわがまま言ってたけれど、僕にはそれなりの居場所はあった。
出迎えてくれる仲間もいる。
でも未だに「信じること」というのは口で言えても疑問に思っていた。

何を信じる?
仲間?
それとも自分?




「…………。」

「だんだん雲雀君に似てきたんじゃない?」

「何ですかそれ。」

「信じるものは自分のみ。
自分の居場所は自分でつくるから他人は入ってくるな、みたいな。」

「ん…。」

ふわりと白蘭のにおいがしたと思えば再び重なる熱い唇。
もう他人が自分の領域に入っているのに、それでは意味が違うだろう。
そう訴えたくても今の自分は口を塞がれているので言えなかった。

たまに出るくぐもった声は気持ちいい証拠。
白蘭は骸の様子を伺いながらも、舌を滑らして絡ませる。




「ン…ん………はァ。」

「…ふふ、本日2回目。」

「びゃく…ら。」

「だいぶ僕のことを認めてくれてるよね。」

「ナルシスト…。」

「ごめんね、誉め言葉。」

でも嬉しい。

そう言って軽いキス。
このまま身も心も溶けてしまいそうな熱さに何もかも溶かされたい。
体がそう願っているのか、白蘭の首に腕をまわして更に密着した。
でも心底冷たいものがある。

これは何?




「…………。」

「不安?」

「………っ……。」

「心配しないで。」

何かが君を変えようとしても、
心の中までは変えられない。

敵同士である自分達の信念は相手を倒すことであって、こんな平和な日々がいつまでも続くわけがない。
最後は本能を燃え上がらせて最終的には戦うだろう。
恋愛なんて理由にはならないから恋人関係はそこで終わる。

そう、
僕がどんなに君を想ってたとしても変えられないものがある。
それが怖い。

だから知りたい。




「君の今の信念は?」

僕は君の全てが欲しいから。




「………。」

「敵対してた頃とは絶対違うでしょ。」

「…たいして変わりませんね。」

「もとから惚れてたってこと?」

「僕はもう、
1人で生きられる自信はありませんから。」

「そっか。」

その声が離れたとしても、信念を貫き通す心はこの場所にある。

まだ暖かいうちに。
適わないと知りながら、目の前にある敵を手に入れたいと思っている自分がいる。
白蘭は骸の体を抱き締め、そして静かに押し倒した。








(夢見て倒れて立ち上がれ)



******
「Keep the faith」で「信念を貫き通せ」です。

ツナさんに対しての信念と忠誠が強すぎるので、どんなに骸さんを愛しても心の中までは落とせないという話。


KAT/TUN曲お題に提出。

09,08/22[完成]
10,02/01[更新]
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