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「…本当にいいんだね。」

囁きは意味を成さず、でも叫び合うつもりもない。

タクシーを捕まえてやってきた場所はもちろんホテル。
でも彼女は恥ずかしがり屋だから、タクシーのおじさんにはホテル付近の喫茶店で降ろしてもらった。

降りれば人がちらほら、どれもいい雰囲気のカップルばかり。




「ンん……。」

「骸君?」

「空気が…甘すぎます…。」

体がとろけそうな空気に思わず理性が吹っ飛びそう。
そんな白蘭を余所に、骸はキスをせがんできて背伸びをする。
自分から顔を近付けたものの、やはりリードは白蘭やらせるのが骸のやり方。




「狡い…。」

「ン、」

外では息ができない、そう言うのなら口移しにこの思いを注ぎ込む。

耐え切れず、最初から舌を滑り込ませる深いものになってしまった。
でも彼女はいつものクールさを気取って無我夢中に舌を撫でてくるので、ペニスが逆立つ感覚がわかる。
時々舌を甘く噛めば洩れているであろう彼女の吐息。
でも外では聞こえない。
車の音が大きすぎた。




「…ァ、」

「ふふっ
みんな見てる。」

随分と青くなったなと思いながら目線を横にずらせば、道路を挟んだ向かい側の道にどこかで見たことがある顔。

あ、骸君の旦那さんじゃん。




「うわ、バレるの早くない?」

一部始終を見ていたのか、男は唖然としながら白蘭と骸をにらんでいる。
誰だって自分の妻になる人が他人と公にキスをしていたらショックだろう。
それでも白蘭は骸を離す気はさらさら無い。

すると骸も気付いたのか、目線をあっちに向けながらにやりと笑って僕に抱きついたりキスをしたり。
ついには首に腕をまわして更に深い交じり合いを誘う。




「…君、本当に質が悪いよ。」

「貴方が僕を連れ出したんです。」

白蘭の手をドレスの下に入り込ませて、今まで進んだことのない領域を旦那に見せ付ける。
ふざけて直接クリトリスをつねれば気持ち良さそうに白蘭の体を撫でた。
車が通っているので見えないんじゃないかと思ったが見えているらしい、男は唾を吐き捨ててそこら辺の女を誘い始めた。




「…………。」

「…………。」

「圧勝。」

「そうですね。」

「魔性って君のことを言うんだよ。」

「僕はこれでも純愛派です。」

愛撫をしていた手を引っ込めて勝ち誇った気分にご満悦の白蘭。

いきなり性交をしようとする一般人を受け入れるほど、骸は若く広くない。
頭脳的な常識をもつところが白蘭のターゲットポイント。
あんな汚い所で働きながら、遊び人でも痴女でもないクールさに惹かれた。

ほんと、エリートだよね。




「……………。」

「?」

「はやく…して、ください。」

骸の手は白蘭の下半身へと移り、チャックを下げれば下着ごしから白蘭の大きく身震いするペニスに触れる。
熱くて太くて固い。
骸は息を飲んでぐにぐにと刺激する。




「せっかち。」

「貴方も。」

どうせなら2人きりで。

白蘭は骸の手を止めてホテルへと歩きだす。
もう限界なのか、自然と早歩きになって彼女が歩くのが大変そうだった。

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