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※雲骸←白、暴力、裏注意。
「痛みは限界を越えると気持ち良くなるんだって。」
「っあ゙ぁッ」
「骸君知ってた?」
痛さに耐え切れず叫ぶ声。
殴り、蹴り、切り、破り。
どれをしても耐えるのは必ず生きて帰ると約束した自分の想い人の為。
そう思えてくると腹が立って再び骸の体が軋む音。
血は舞い散って床に落ちる。
白い肌には似合わない青と赤。
腹部に刻まれた言葉の数々。
痛いとか止めろとかは言わずにただ彼の名前を呼ぶ姿。
雲雀君、雲雀君って。
本当に馬鹿げてる。
僕に縋り付けば苦痛なんてないのに。
「ッぅ゙ぁ゙あああっひ、ばッぁ!」
「ッは。」
冷たい。
出てくる吐息も温度も全て。
なんでこんなに冷たい?
今は独りじゃない。
なのに何で。
白蘭はただ茫然として骸を眺めて行為に没頭していた。
白濁に身を染め気絶した骸を殴り無理矢理起こさせて問い掛ける。
「ぁ゙、がッ」
「その雲雀君のどこがいいの。」
「だ、ま…れ…ッがはっ」
ガッと骸の首を掴んで、そのまま壁に床にと叩きつければ次第に骸の体は動かなくなってくる。
快楽よりも痛みのほうが増してきたようだ。
白蘭からは泣いて許しを乞えばひどくはしない、と提案されたが骸が振り向くわけがなかった。
「っ…ぅ゙、」
骨は一部一部粉砕し、血の気が悪くなる。
それでも立ち上がろうとする骸に腹が立った白蘭は、すでに使い物にならなくなっている相手の腕を掴んで目線を合わさせた。
「っは…ぁ、はぁ。」
「これで最期だよ。
どう、跪く気になった?」
「……っ」
「ん?」
「……さ、わるな…ッ」
「………。」
その瞬間、パッと赤く血が舞った。
意識が朦朧として何も聞こえない、何も喋れない。
骸は死を覚悟してでも愛しき名を心の中で呼び続けた。
「……そんなに会いたければ会わせてあげるよ。」
下にいる雲雀君にね。
痩せ細った体を窓の方向へと投げ飛ばして、硝子の破片と共に骸が宙を舞う。
ここは高層ビルの最上階、匣兵器を使えばなんとかなるが今は体が動くどころではない。
赤く染まる体に硝子が食い込む感触、感覚さえも途絶えた体はただ落下するのを待った。
が、1瞬遅れて何かが解放されるような音がして投げ飛ばされた体は無事に地上に着いたようだ。
「……………。」
つまらなさそうに白蘭は外を眺めて下を見る。
案の定、黒いスーツに身を包んでいる彼が骸を抱き締めて血を拭いていた。
いつかは骸を救出しに乗り込んでくるとわかっていたが、安心したように顔がほころぶ骸を見て苛立ちを越えて物足りなさを覚える。
「……ばいばい。」
骸は白蘭を見上げる事無く、その場から去っていった。
ONLY LONELY YOUR TEARDROP
(飢えたカラダのこの真ん中を)
(ひとすじに駆ける君の匂い)
フリリク企画に提出。
次は雲骸で続きます。
09,04/17[完成]
09,06/05[更新]
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