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※学生パロディ、骸♀、裏注意











好きだった。
今でも好きなら愛していいよね?










どこかで見た淡い夢のよう










「あ、骸君じゃん。」

「白蘭。」

パタパタと階段を降りたら、夕焼けに照らされた蒼い髪を見つけた。
あんな綺麗な色の髪は、この学校の中で1人しかいない。
白蘭はいつもの笑顔で骸に近寄り、上履きから靴に履き替えた。




「誰か待ってる?」

「はい。
たぶん貴方と同じ理由ですよ。」

「そっか。」

白蘭と骸には、それぞれ恋人がいる。
どうせ学校に行くのなら勉強だけでなく恋愛もしてみたい、と夢見ていたのはいつだったか。
それが叶ったのはつい最近、1ヶ月ぐらい前のことだった。
なので2人は、恋人を昇降口で待つのが日課になっている。

お互いの家が隣にあるので、白蘭と骸は何年も一緒に同じ学校で同じ日々を過ごしていた。
幼なじみほどではないが、決して仲が悪いわけではない。
今夜も骸の家で一緒に勉強会を開くことになっていた。




「彼氏は元気?」

「まぁ変わりないですね。」

「相変わらず、
君とイチャつけないって彼氏が嘆いてくるよ。」

「タイミングが悪いんです。」

「タイミング?」

「彼といると、いい雰囲気にならないんです。」

「それは君の基準が高すぎるんじゃないの?」

「いたって普通です。
貴方のテクニックでも教えてあげたらどうですか。」

「…高いよ?」

「貴方って人は……。」

そんな性格で、
彼女ができたことが不思議でなりません。




「あー…そうだ。
勉強会ついでに宿題も手伝ってほしいんだけど、大丈夫?」

「僕は構いませんよ。」

「さんきゅー。」

「窓は開けてあるので僕の部屋にいてください。」

「うん。
じゃぁまた後で。」

そう言って、骸は先に恋人と共に昇降口へ出る。
白蘭は手に持っているコーヒーを飲み、黙って恋人を待ち続けた。




「…………。」

本気を出せば、奪えるかな。

骸に惹かれていることは、自分自身がよく知っている。
しかし、もう手遅れ。
今ではハメが外せる骸との少ない時間が、何よりの楽しみだった。




「もう別れようかな…。」

骸の想いを引きずったまま彼女の相手なんてできない。
それならいっそ、彼女と別れて骸に告白でもしてみようか。
それで断られたら吹っ切れる。
でも不思議と、骸にフラれない自信だけはあった。

さまざまな考えが白蘭の頭を過る中、彼女がパタパタと小走りでやってきた。




(これが骸君だったら、)

なんて考える僕は病気かな。



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