K×S
おとなしく寝てなよ。
そうしないと風邪って治んないから。
「それで何、まさか寝てないの?」
「っ悪かったでず、ね…けほッ」
「ちっちゃい頃“風邪ひいたら寝なさい”って言われなかった?
幼稚園児でも知ってるよ。」
「…ぁ、いなんて…ズズッ
知りまぜんからっ」
「うわ、身体的にも精神的にも限界患者なんだ。」
お見舞いに来てみれば今にも死にそうな顔をして風邪と戦う骸の姿。
洟をすすって咳をして、喉が痛いから声もガラガラ。
嗚呼、骸君の美声が…。
本人は風邪なんてめったにひかないので対処法がかなりあやふや。
薬は適当にがばっと1発、氷水を飲んで体の熱を下げようとしたが何故だか悪化している(ような気がする)
そりゃ当たり前でしょ。
「で、眠れなくなるほど悪化しすぎなわけ?
骸君見かけによらず馬鹿だね。」
「ゔ、るさっん」
「まず今日は一言も喋らない。
いい?
しゃ・べ・ら・な・いんだよ?
お口ミッフィーだからね。」
「………んん。」
「うん、いい子。
もし喋ったら、次から口を開かないようにキス魔になるから予告。」
口元を人差し指で押さえられて何も話せない。
骸は不眠と風邪でだるい頭をなんとか働かせながら白蘭の言葉を理解して頷く。
本当にキス魔になりかねないですね、この男。
「じゃぁ何か食べないと寝れないからお土産のメロンと見せ掛けての蜜柑!
あ、別に嫌がらせとかじゃないから。」
「びゃぐ‥‥っんむ。」
「…………だから、
喋っちゃダメだって。」
キスを嫌う骸にとってはかなりの拷問といえよう。
触れるだけのものにも殺意が芽生えて直ぐにでも殺してしまいたい。
それは白蘭でさえもよく知っていること、現にファーストキスの時かなりご乱心になって部屋がめちゃくちゃになった事もある。
なので骸は怒りを感じていたが喋ったらまたやられるので睨んで答えた。
「どう?
嫌いな事をされる気分は。」
はい蜜柑、と手渡そうとしたが体力が無さそうで持つ気力も失っている(らしい)
風邪、おそるべし。
水分をとらないと風邪は治らない、そう熟知している白蘭は剥いた蜜柑を唇に当てて食べさせようとしたが無理、というか反応的に拒絶。
「じゃぁ口移しなんてベタな事するよ?」
「…………。」
「まぁさっきもやったし、いいんじゃない?」
出来ればキスも風邪が移る可能性があるからあまりやりたくはなかったが、仕方がない。
これは介抱これは介抱これは…。
その気になったら危ないので自分に「看病だから!」と言い聞かせておく。
「ん、ぅ。」
「ッ…。」
「ふ…ァ、…はァン。」
というわけで、遠慮なく骸にキスをふっかけておいて、わざと舌を絡ませる。
先程とは違う深いキスに躰をびくびくとさせながら答えていくのが嬉しい。
ざらざらとしている舌がこの時だけぬるぬるしていて変に気持ちいいのは知っている、数分やっていると最後は口内に唾液混じりの蜜柑をわたして唇を離した。
だが喉が痛いから飲み干すときに辛そう、今にも泣きそうなぐらい物凄く頑張っている骸に圧倒された。
口の端から数滴の果汁が滴り、熱の為顔真っ赤、ついでに泣きそうな目を見ると情事中を思い出す。
なんとか飲み込んだ骸の頭を撫でながら、残りは全部白蘭が食べた。
うん、美味しい。
「甘えたい盛りだと僕が困っちゃうな。」
「…………。」
「「違います」って目で訴えてもねぇ、僕は君を介抱するために来ただけだよ。」
「びゃ…ッふァっ」
「添い寝させてくんなきゃ次からセックス魔になるからね。」
White Devil×
(あ、言っとくけどキス魔も止める気ないから)
フリリク企画に提出。
09,03/06[完成]
09,06/05[更新]
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