I don't speaking
目を閉じたまま動かない君。
聞こえるのは規則正しい声と自分が飲み込む唾の音。
「…スー……ス…。」
「…………。」
キスしちゃっても、良さげ?
起きそうにもない骸の耳元でイタズラ予告を尋ねるが無反応。
普段は絶ッッッッ対にさせてくれない、というかファーストキスの時、結構良い感じだったのに正チャンがいきなり入ってくるからさ。
顔真っ赤にした骸君に蹴られてイチャコラ中断、しかも地獄道で幻覚を見せてカモフラージュをしたし。
どんだけ周到なの?
「あの時は無理矢理正チャンを黙らせたけど、随分といかがわしい目をしてたな。」
「………ん…。」
「懐かしーよね…。」
ギシリとベッドの上に乗れば睫毛がピクリと動いて起きるかと思いきや顔を背けただけで起きない。
起こすと厄介なので一安心したが、どうせなら鎖骨を隠してほしい。
やっぱり白すぎ。
『君を幽閉する、どうしたい?』
『死んで救われますよ。』
そう言って一時は舌を噛み切って倒れたけど死なせる訳がないじゃん。
霧の守護者としてのプライドはあるみたいだけど命を捨ててまで標的が大切なんだよね。
知ってるでしょ。
今の医療技術は患部を再製させるんだから舌を噛み切ったところで無くなった舌は元に戻る。
君は生き続けられる。
その目だって元どおりの赤に再製させたんだから。
「わかってくれないかな。」
「……ん…ッ…。」
首筋に吸い付くと微かな違和感に眉を寄せる。
骸の隣にある空いているスペースを借り、体を寝かせて色々と思考を手繰り寄せて考えてみる。
将来的に考えてみて、自分は一途を貫き通して骸を好きでいられるかどうか。
いや、たぶんそれは無理だとしよう。
これからマフィア関係で令嬢とかのお見合いが(勝手に)入っちゃってるし。
しかも婚約しなかったら同盟は破棄される可能性大だし。
うわぁ、凄いワガママ。
まぁ人のことは言えないんだけどね。
「骸君がどう思ってるかだよなぁ。」
枕を抱き寄せるように腕を組んで骸を見る。
その躰、本当に綺麗なのにさ。
指でちょいちょいと骸の首筋をなぞったり触れたりして遊べば半寝呆けの目が白蘭に向けられた。
「骸君は、どうしたい?」
「‥‥‥‥。」
「寝呆けた君に聞いても仕方ないか。」
懐かしいよね、あの時と同じ質問だよ?
「…びゃく……ら…。」
「お、聞こえてた?」
「……す…。」
「んー?」
「…キス……。」
「キスがどうしたの?」
「する…つもり、なん‥で‥しょう……?」
「まぁね。」
「そう…ですか。」
眠気に負けて目を閉じる骸はそりゃもう可愛くってしょうがない。
頬とか唇をぷにぷにと押してみたり、髪の毛を梳いてみたり、そこにあるポッキーを鼻に突っ込んでみ…たかったけどやめた。
それはマジで殺されるから。
しばらく骸君の顔で遊ぶと不意打ちにあっちからキスをしてきた。
うーん…ちょっと急すぎて中断したいけどこれは受け入れるべき、だよね?
頭にハテナを浮かべながら骸の好きなようにさせておく。
まぁこんな狭い部屋に長いこと過ごしてるけど、気がおかしくならないのが骸の根性、と言うべきなのだろう。
「ん、じゃぁ。」
久々にお天道さんを拝みに行っちゃうか。
自分の胸板に手を置いて頭を擦りよせてくる細くて白い体。
抱き締めてと言わんばかりの彼をぎゅっと抱き締めても包容に対する抵抗はなかった。
これが君の本音かな。
だったら自惚れてもいいよね?
お口ミッフィー
(本音は自分で理解しろってね)
フリリク企画に提出。
08,01/24[完成]
09,06/05[更新]
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