ほら御覧、貴方も上面ばかり





おかしいとは思った。

監禁、強姦、暴力、文句、虚偽。
全てを自分の躰にたたき込んだ男が最近自分に触れてこない、そればかりか面会は1日置き、さらに2日置き、ついには1週間会っていない。

そんな変な空気に包まれた面会は何も言わずにただ抱き締められたり有無を言わさず口付けてくる。
それも充分嫌だがそこで終わるのがさらに不可解だ。

というより逆に気持ち悪い。




「…………。」

「…………。」

「骸君。」

「…何ですか。」

「外に出してあげる。」

「は………?」

そして今日。
もう昼なのか夜なのかわからない密閉した部屋に白蘭は来た。

今何時なのか、どうして恋人のように接するのか、何故僕に今更“逃げろ”と言う?
意味がわからない。




「そんなあからさまに怪しい誘いは素直に受け入れられません。」

「早く出てって。」

「どうせ罠でしょう。」

「お願いだから早く!」

骸に三又槍と匣(ボックス)を持たせて出ていけと言いながら骸の腕を引っ張る。
そのわがままさ。
我慢の限界、骸は白蘭を制御して今までの疑問によるイラつきをぶつける。




「む、くッ」

「何故優しくしたんですか!」

「…………。」

「何故キスや包容で終わるんですか!」

「…………。」

「何故今更逃げ出せなんて言うんですか!?」

「……………。」

「ッ何か言ったらどうです!」

「早く出ていけッ!!」

しかめる顔に似合わず怒鳴った。
目の前の彼はふざけではなく真剣な顔をして視線を外そうとはしない。
そしていきなりの怒鳴りに一瞬肩を竦めた骸に腕を伸ばしてあやすく愛撫をすると抱き締めた。
思い切り締めてくる白蘭の腕は振りほどけず、素直に抱き締められた。




「苦…しっ」

「早く逃げて。」

「な…ッ」

「廊下を真っすぐ行けば裏に窓があるから。」

「だからッ」

「今だけは!」

このままいけば背骨が折れてしまうかもしれない。
でも今はそれでいいと思えてきた。
耳元で囁くような声、そして鼓膜が破れそうになる大声。
それすらも安息のような感覚で壊れそう、殺人的な暴力で圧倒された躰も顔も全て回復した。




「今だけは…。」

「…………。」

「だから、早く…。」

「…………。」

「まだ、恋人で…いたい、から。」

「……ッ…。」

別に恋人なんかのつもりで傍にいたわけじゃない。
勝手に痛め付けて勝手に束縛をして勝手に制限したのはどこの誰ですか。

そう反論したいが、逆を言えばもう此処にはいられないという事。
そんな話は聞きたくはなかった、
ぎゅうぎゅうと締めてくる白蘭にそろそろストップをかけようとして胸板を手で押す。
と同時に頬に触れた手を拒まず、成すがままに白蘭の唇を受け入れた。




「ッンぁ、ふ。」

本当にテクニックは上手い。

でも愛し方は不器用だ。

頬に感じる白蘭の手。
その指には体温とは違う一部冷たいものがある。

…もう、それでいい。
記憶でも無くせる薬でも作ってもらえれば良かったんですがね。
何かが芽生える前に断ち切れて本当に、良かった。

真っ白に包まれる彼の胸板を再び押してキスを中断すれば「本当は」と長い話が始まる。

僕は黙って理屈混じりの長話しを聞き、
静かに跪(ひざまず)いて彼の左手の薬指にキスを落とした。

あぁ、やはり。



「ここだけ冷たいですね。」







(事の後でのお決まりのKissも)
(目を閉じてるのは貴方だけなの)




******
大方の意味は白蘭さんが婚約して式前のお話。
Janne Da ArcのDry?がメインになっています。

フリリク企画に提出。

09,01/21[完成]
09,06/05[更新]
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