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※骸♀注意
疲れた、嫌だ、殺せ、死にたい。
霧の守護者として働いてきた骸君が吐く弱音、それは珍しくて煩い。
僕のやり方が間違っていることは認めるよ。
だけど君は僕のことを嫌いだとは言わない。
僕のことをどう思っているのか、何度聞いても答えてくれなかった。
だから、
どうしようもないんだよ。
Said「B」
「…………。」
情事後の骸はいつだって泣くか吐くかでうなされている。
今まで何回も性交を続けてきたが、骸のそんな反応に白蘭は飽き飽きしていた。
何というか、色気が無い。
「やっぱり骸君には通用しないか…。」
白蘭は盛大なため息を吐いてジーパンを履く。
そしてベッドに寝転んだ。
自分の気持ちをぶつければ、いつか相手も自分を見てくれる。
人生の経緯からそう学んだ白蘭だったが、骸は一筋縄ではいかない。
なんとか骸を自分のものにしたかった白蘭は、あの手この手で骸に触れた。
しかしそれが逆効果だったのだ。
「…………。」
隣でシーツにくるまっている骸を抱き締めてみた。
嫌だと言って白蘭を拒むかと思いきや、骸はビクビクと反応しながらも抵抗しない。
この矛盾さが白蘭を困らせる。
「骸君…。」
「っ……。」
「顔見せて。」
今日はどれだけ目元が腫れているのか。
骸がどのくらい泣いたのかを調べるのが、情事後の習慣になりつつある。
白蘭がシーツを捲ると、綺麗な赤と青のオッドアイが見えた。
正面から抱き締めているのはわかっていたが、あまりに近かったので息を飲んでしまう。
顔が綺麗すぎる。
目元が腫れていない。
今日は泣かなかったのか。
そう思った白蘭は、骸の顔に再びシーツを被せた。
「む…びゃく……。」
「まぁ寝てて。
疲れたでしょ、だから…ね?」
これは少し距離をおいて間合いをとらないと気まずくなる。
しかし骸は白蘭の微妙な優しさを不快に思い、肩を掴んで逆に押し倒した。
「……む…くろ、さん?」
「人で性欲処理をしといて今度は窒息させる気ですか。」
僕はあなたの何なんですか。
そう耳元で囁くと、白蘭の頬に触れるだけのキスをしてきた。
そして恥ずかしそうに白蘭の胸板に顔を埋めて顔を隠す。
その際、ワイシャツごしから伝わる胸の感触は、少し危ない。
「僕をどうするんです。」
「うー…ん、」
「…………。」
「本音?」
「当たり前です。」
「………今は、
こうしたいかな。」
「な…っ」
いきなり世界が反転した。
押し倒されていた白蘭が、逆に骸を押し倒したのだ。
そして唇を指でなぞる。
「君の全てに触れたい。」
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