「言ってくんなきゃわかんない」






「白蘭。」

「ん?」

「……いいえ、
何でもありません。」

骸は今、白蘭の包容力に負けて身を委ねている。
先程の情事で飛び散った精液や、汗ばんだお互いの体は綺麗になっていた。
敏感になっていた性器も、だいぶ落ち着いてきようだ。




「何でもない、ねぇ…。」

「…………。」

「じゃぁ尚更聞きたいな。」

「な、
貴方って人は…。」

「ほらほら。
早く言わないとまた押し倒しちゃうよ。」

白蘭は骸の頬をむぎゅとつねって遊ぶ。
痛いとか止めろとか言う声が聞こえるが、白蘭は無視。

しばらく骸の顔で遊んでいると骸がチラチラと白蘭の顔を伺ってくる。
白蘭のしつこい催促によって、骸の重い口が開こうとしていた。




「言う気になったみたいだね。」

「………いえ、
そんな大した話ではありませんから。」

「へーぇ、そっかぁ。」

思いっきり笑顔で頷く白蘭を前に、骸は冷や汗をかいた。
あれほど体を重ねたというのに、白蘭はまだ足りないと顔に書いてある。
そんな彼を前にして、自分は今どんな表情をしているのか気になった。
内心とは裏腹に、喜んでいるのか欲情しているのか。
それを聞きたかった。

だがこんなことを聞いても、どうせキョトンとされて終わるだろう。




「…………今。」

「ん?」

「今、僕はどんな表情ですか?」

「…………。」

え。
何そのヘビーな質問。

白蘭はまじまじと骸の顔を見たり、額に手をあてたりして考える。
うん、熱はないね。




「どんな顔って…。
いつもの顔だけど?」

「そうではなく、」

「…………。」

「何かを企てていそうな、とか。」

「とか?」

「い、いやらしい顔…とか。」

「……………へ?」

厭らしい…。
って、




「ごめん、もっと激しくやれば良かったんだね。
今度は糖分控えめにして失神させてみせるから。」

「すみません。
話が激しく脱線してますよ。」

「え、だって欲求不満なんでしょ?」

「全然違います。
しかもさりげなく押し倒さないでください。」

「えー、しないの?」

「当たり前です。」

「でもね、体はこんなに熱いくなってるんだよね。」

「っ!」

骸の体に触れてくる指。
ベタベタとむやみに触るのではなく、接するか接しないかの差で撫でまわす。




「ほら、
やっぱり気持ち良くなりたいんじゃん。」







(僕はエスパーじゃないから)
(言ってくれないとわからないよ)


09,01/10
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