Love of reason






こんな気持ちじゃ何も手に付かなくなる。




「……………。」

白蘭、
その名前の相手を消せようとしてまた失敗に終わった。
近距離で相手の顔をまじまじと見た瞬間から高鳴りだしたこの鼓動。
これのおかげで夜も眠れないことも度々あった。
それぐらい僕は彼に惹かれ恋い焦がれ、複雑になる。
「一生」とか「永遠」が叶わないのは熟知済みだったからだ。

彼と僕の間に愛なんて純粋なものは生まれない。
理由は簡単、彼と僕は敵同士だから。
毎晩快楽に溺れては冷めた後に現実を思い知らされる。




「…骸君、考え事?」

「…………。」

1つのベッドに2人で寝るのはいつものこと。
だが寝付けてない骸に気付き、心配したらしい。

彼が自分の名前を呼ぶ、
そんな些細なことでも想いは揺らいでいた。
このまま惹かれていいのか、それとも断ち切ってしまおうか。




「骸君?」

電気が付いていない部屋の中、月明かりがやけに眩しい。
僕の隣で話し掛けてくる彼、愛しくも思えるし苦くも感じた。

だから決めた。




「逃がして、ください。」

「え?」

「僕は早く…自由になりたいんです。」

「……………。」

「だから、」

また敵として僕を見てください。

別に白蘭が嫌いになった訳ではないけれど、こんな無惨な想いは不器用な自分にとって複雑すぎる。
“別れたい”のではなく“別れた方がいい”のかもしれない。




「……………。」

ベッドで寝ている僕は白蘭に背を向けている状態のまま。
しかし時間が経つにつれて体が震えだした。
これは恐怖?それとも他の何か?




「……ッ……。」

「まだ、迷ってるね。」

別れ話を切り出しても、白蘭は冷静に答える。
そして次の瞬間、まわってきた白蘭の手が骸のシャツのボタンを外し始めた。
いつもなら抵抗するが、今はやらせておく。

これで最後なら黙ってその時を迎えよう。
そう決意したのに先程から身震いが止まらず、鼻の頭がツンとして目尻には透明な液体がたまる。
それを取り除くかのように白蘭は快楽を与えてきた。

やはり彼には適わない。




「迷ってるでしょ?」

「ッぁ…。」

耳に囁かれると、また心臓が跳ねた。
ピタと隙間なく抱き締めてきた白蘭を、未だに愛しく思っている。
素肌で感じる彼を拒まず、されるがままにして目を閉じた。




「迷うのならやめときなよ。」

僕には君が必要なんだ。

理由なんていらない、傍にいてほしいだけ。
ベタ過ぎる引き止め方だけれど僕は君だけしか見えないし愛せない。




「本当は僕に惚れてるくせに。」

「ん…ッびゃく、」

「まぁ‥口で言っても理解できないよね。」






(世の中ってそういうもんじゃん)

08,04/30
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