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――‐‐…‥‥‥


ぺたりぺたりと冷たい床を歩く。
あれから風も雨も強くなるのが窓から見え、だいぶ冷え込んできた。




「あ、おかえり。
髪の毛洗ったんだね。」

「髪を洗うのに許可なんて必要ですか。」

「ううん、聞いてみただけ。」

現に白蘭も髪が濡れていた。
それは雨のせいではない、紛れもなくシャワーを浴びた形跡。

白蘭はベッドに座り、くつろぎながら髪の毛を乾かしている。
骸もギシリとベッドに乗っかれば、白蘭の背後が見えた。
頭よりも手が先に動き、いつのまにか白蘭の腰に手を添えて抱きついていた。




「んー?」

布越しに伝わる彼の体温に、安心している自分がいた。
無性に甘えたくなったのは事実、これは雨に打たれ過ぎて頭がおかしくなったのかもしれない。
だが今はそんな事を考えている暇はなかった。




「…………。」

「寒かった?」

「いえ…。」

「体、震えてるよ。」

腰にまわされた腕を解き、向かい合うようにして白蘭もベッドの上に乗る。
腕を解かれて哀しげな顔をする骸に両手を差し伸ばせば、素直に抱き締める事ができた。




「ほら、冷たい。」

肩に顔を埋めて、細い指で白蘭の手を握る。




「っあなたが温かいだけです。」

「逆に熱い?」

「いいえ。」

なら良かった、と更にきつく抱き締められた。
このまま甘ったるい空気に流されては、更に自分がおかしくなるかもしれない。
終わりとでも言うかのように体を突き放すが、残念なことに中断は許されない。




「どいてください。」

「やだ。」

ちゅ、と軽いリップの音がしてまた甘い空気に戻される。
先程までいた雷雨の中とは違う暖かい空間に、もどかしさを感じた。
これが人のぬくもりというものなのか、はたまた違うものなのか。
骸は目を閉じ、全身で白蘭を感じる。




「死なないでね。」

「…………。」

「僕が暇になるから。」

「…結局は貴方の為ですか。」

「酷いなぁ、
こうでも言わないと本当に死んじゃうから。」

「本音は?」

「君が好きだから。」

「ン…。」

有無を言わさない白蘭の包容力に負け、するりと顎を持ち上げられれば触れるだけのキスをしてきた。
それだけじゃ足りない骸は自ら唇を寄せ、くちゅっと舌を絡ませる。

それからはキスばかりで、途中から白蘭が優勢になってしまった。
自分の体内から骨が無くなったような感覚。
もういっそ、溶けてしまえば楽なんだろう。




「骸君、体ふにゃふにゃしててマシマロみたい。」

「大半は貴方のせいです。」

「不満なの?」

「特には。」

「素直じゃないね。」

万更でもない顔をしてるくせに。




「羞恥を知らない人に言われたくありません。」

そんな魅力で自分を惹きつけておいて。

す、と骸を抱き締めたまま体重を前にかけると、何の抵抗もなく押し倒せた。
ギシリと大きく軋む音を耳で確認し、白蘭は骸を好き放題抱き締める。
マシュマロのような柔らかい体に快感を覚えながら、骸を引き寄せたら首筋などを舌で舐めた。




「ン…びゃ、くら…。」

「眠いね。」

「眠くはないです。」

「僕が眠いの。」

「わがまま…。」

「今更。」

魅力なら僕といい勝負になりそう、でもやっぱり相手の魅力には負けるみたいで。
断片的な会話でも愛しく思えてしまう自分が馬鹿らしい。
頭は冷えたはずなのに、馬鹿げた話だ。




「貴方がどのくらい僕に惚れたのか、立証してみてください。」

「いいよ。
一生愛してみせるから。」










KAT/TUN曲お題にて提出。

08,11/22[総合完成]
08,12/29[更新]

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