I'm glad to meet you.







「びゃく…ら……?」

やりたい放題に骸を抱いていた白蘭が離れる。
その顔はいつもの笑顔ではなく、冷ややかな目をしていた。




「今…なんて、」

「いいじゃん。
骸君は僕が嫌いなんでしょ。」

“僕から逃げたいならそうすればいい”

そう言うと、ベッドと骸を縛り付けている縄を外した。
今日も抵抗したので手首には赤い痕が残っている。
だが骸の顔は晴れなかった。




「貴方…本気ですか?」

監禁がなくなる、自由にできる。
そんな話は今更だった。
これまで庭や屋上に普通に行けたし、何より拘束すらされていない。
ただ、抱かれるのには抵抗があったけれど。
それでも、これのどこが監禁と呼べるのか。

簡単に逃げれるような環境だったが、骸は一歩たりとも逃げようとはしなかった。
それは敵側を詳しく観察し、手に入れた情報を味方側に知らせるため。
例え抱かれようとも、情報さえ得ればそれに越したことはない。

その敵に心を乱れられなければ、事は簡単にいくはずだった。




「嘘を言ってどうするの。」

「っ今更そんなこと、」

「これは君が望んだんでしょ?」

「な‥ッ」

「じゃぁ、誰にも見つからないようにね。」

困惑している骸の髪に触れて、細い指で髪をとかす。
そして骸から離れようとした。

だが骸はとっさに白蘭の服の裾を掴んだ。
腰に鈍い痛みを感じ、そして我に返る。




「あ……。」

引き止めて、どうする?

自分に問いかけるが答えが出てこない。




「何してるの?」

「自分でも…わかりません。」

「君らしくないね。」

「本当です。」

骸が裾を掴んでいるので、白蘭は身動きがとれなかった。
仕方がないので白蘭は骸に近寄って、自分の行為に疑問を抱いている骸と視線を合わせる。




「君の好きなように生きればいい。」

「…………。」

「…どうしたの?」

「………っ…。」

人間というのは不思議だ。
本当に自由になると、どうしていいかわからなくなる。
自分の居場所が無くなったようで、その場から動けなくなっていた。

敵だってわかってる。
それでも貴方を頼ってしまう自分がいるから。

ただ黙っている骸に困り、白蘭はそのまま顔を近付けてきた。




「っ…。」

「嫌…です。」

今キスをしたら、貴方は離れる。

骸は小刻みに震える腕で、白蘭を押し返した。
今の空気をどう読めばいいのか。
白蘭は困ったように骸を見つめるしかなかった。




「……君はどうしたいの?」

「……………。」

「僕が嫌いなんじゃないの?」

「……………。」

「そんな黙ってると、」

期待、しちゃうよ。

骸の頬に手を添えて目線を合わせた。
赤く染まった頬は熱く、何かを言おうとした口が小さく開く。
今は互いの呼吸しか聞こえない。

しばらく緊張した空気が流れたが、骸が白蘭の胸元に倒れこんだ。




「……むく。」

「期待…、」

「え?」

「期待しても、いいですよ。」

とても小さな声で言われたが、はっきりと聞こえた。
素直に言わず、でも誘うような告白は、プライドの高い骸らしいやり方。

そして白蘭も小さな声で返事をする。
だがあまりに小さすぎて聞こえなかった。
不思議に思った骸が顔を上げた瞬間、白蘭は唇を重ねた。




「…っふ‥ン、」

舌まで絡める深いキス。
返事として受け取った骸は、顔を真っ赤にさせながらも静かに舌を絡ませた。




「っ…いきなり、すぎです。」

「ごめんごめん。
あまりにも嬉しかったからさ。」

「…それで、返事は?」

「ふふ。
お言葉に甘えて期待します。」




Lastfirst
(これは意外な展開だったね)


08,06/20
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