廃墟シリーズ41~60
空間の裏側
時間の隙間に潜り込んでしまったのか
カツンカツンと深く広く響く
窓から射し込む光が苔の緑を美しく輝かせる
泣きたくなるほど寂しい空気を貯め込んでいた
汚れた窓で勢いを弱められた光が細々と射し込み
あらゆる色彩が無彩色に近づく
ゴンドラは次々と誰かの想い出を乗せて、錆びついた空中散歩へと動き出す
楽しい笑い声が、もう戻ってこない時間の向うから聞こえてくるのです
組曲「崩壊」、これにて終演



目に見えない誰かが今も外を眺めている
緑に抱かれるように眠る
最後に明かりが燈った日のことを
何もかも、あの日のまま
一色に染まりゆく
光を求めるはずの緑は、なぜか闇に牽かれて
運命を悟るように
壊れた迷路にもう迷わない
クッション抱えて、音のないテレビを見てる
見上げて、耳をすまして。この遊園地は無音だった。

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