廃墟シリーズ21~40
遺された物の多さに寂しさを感じて
崩落の色気
割れた窓からの光は美しく
悠久の時に思いを馳せる
滅び、朽ちてゆく中に至高の美を見る
寂寥たる風情
悠遠の彼方に消える思い出
遺された人形の心境や如何に
この部屋で私も一緒に朽ち果てていくのも悪くない
有刺鉄線に巻かれて



大音量で響く足音
止まっている時計だけがここが廃墟であることを示す
冬の陰鬱な白い光
来るはずのないモノを待ち続けて
唄も踊りも公演も拍手も喝采も会食も歓談も、ここに戻ってくることはない
朽ち果てて行く階段
すべては増殖する緑に飲み込まれていく
何の音もしない。何の声もしない。そして、誰も来ない。
窓から差し込む光がつくる影だけは、今も昔も変わりないのかもしれない
路地を照らす太陽の光が氷のように冷たく差し込む

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