95.お勉強
珍しく静かなワンダーサークルの部室にはわたくしと本城さんの二人しかいない。

本城さんは先ほどからなにやらノートに文字を沢山書き連ねている。 勉強熱心でございますね。

「いえ、残念ながら勉強ではないんです」

彼女はふふと不敵な笑みを浮かべてノートからわたくしに視線を変えた。

あぁ、そうか彼女は心を読む超能力者やったわぁ……。

「そういえば、先生は超能力者について詳しいのでしたっけ?」

「一時期私情で色々調べていたので、詳しい方なのでしょうね」

「では、今とても退屈なので超能力者について先生が知っていることを教えていただけませんか?」


超能力者の多い家系の話、超能力者になる条件のキーワード、現在どのような能力者がいるのかという説明をした。 本城さんは熱心にメモをとりながら聞いていた。

「なるほど。 では私の能力は遺伝ですね祖母も同じ能力を持っているので」

「そうだったのですか。 わたくしもですよ」

「サークルのみんなはどうなんでしょう?」

「神無月の家は全員違う能力だったので、『願望』『危機的状況』のどちらかが原因で手に入れたのかと」

「そういえば、さくらちゃんは動物変化じゃな……あ、すみません」

どうやらまた心を読まれてしまったらしい。 お願いやから、不憫なもの見るような目で見んといて……。

「進化の結果が超能力者だとしても、ちょっと進化しすぎだと思いません? 誠くんなんて空間移動と予知ができちゃうんですよ?!」

確かに進化と一言にまとめてしまうにはこの能力は人間の域を超えてしまっている。
でもそれなら何故……?

「どこかにある超能力を悪用しようとしてる研究所を見つけたら何かわかるかも、ですよね?」

きらきらとした目で見てくる彼女に「単独行動は顧問として許可いたしかねますのでお止めくださいまし」と言ったが、恐らくこの言葉には意味がないと直感でわかった。










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