31.流れ星
首が痛くなるほど空を見上げて、待ち焦がれていたキラリと流れる光の筋に
身長が高くなりますように、と三回唱えると隣でくすりと笑う声が聞こえた。
「笑うなんてひどいよー!」
「いや、ごめんね? 別に馬鹿にしたわけじゃないんだよ。 そんなに身長が欲しいならボク達の能力を使えば理想に近づけることなんて容易いことなんだから言ってくれればいいのに、って思ってさ」
「いーの! 自力で大きくなるって決めたから! それに望達に任せるとさ、身長以外も変えられちゃいそうで危険危険!」
ボクの言葉を聞いてまたクスクスと笑うと笑い出すから、頬をぷーっと膨らませた。
「おや、風船みたいでかわいいね?」
「もー! 望は何か願いごとないの?!」
「ボク? ボクもあるよ、願いごと」
さっきまで笑ってたのが嘘みたいに眉をハの字にして、どこか寂しそうに微笑む望。
「じゃあさ、今度流れ星見つけたら望の番だかああああ! 流れた! 流れたよ!」
「ちょっと心の準備が足りなかったから無理だったね……」
またクスクスと望が笑うと薄く白い雲のかかる空の間にキラリとまた星が光った。
望はふっと微笑むと小声で三回願い事を言った。
ボクはその時、何故か耳を塞がれてしまった。
だから望がなんて願ったのかは今でもわからないまま。
***
「光だけでも幸せに」
- 33 -
戻る