「星空が綺麗だよネンコ!」
「…」
風呂上がり、何となく窓の外を眺めたら満天の星空が姿を見せていた。そうか、今日は流星群の日だ。ニュースでここ数年で最高の状態?だか何だか言ってたな。すごく綺麗に見れるって。
ネンコに声をかけ、興味なさそうにしているネンコを抱き上げ無理やり星空を眺めさせる。序でにより良く星空が見えるよう、窓を開けた。風が吹いていてとても涼しかった。
「あ、流れ星!」
「…」
「知ってる?流れ星が流れている間に3回願い事を言うと、その願い事が叶うんだよ」
「不可能だ」
「夢ぶち壊された!」
一瞬で一刀両断されたその言い伝え。実際は本当に不可能なのだけど。
小さい頃、何度も何度も願った。だけど、3回どころか1回も言い終える事もなく流れ星は暗闇へ消えて行く。
それが悔しくて、哀しくて、意地になって、必死で願い事を唱え続けた。その願いは、結局叶わなかったのだけど。
「小さい頃はね、信じてたんだよ。その言い伝えを」
「…」
「ネンコは何か願い事ある?あ、新しいスニーカーとか?」
「…」
銅像の考える人のように腕を組んで考え込むネンコ。どうやらちゃんと考えて答えてくれるらしい。
数秒後、ピクンと耳が動いた。何かを思いついたらしい。
「思いついたの?」
こくんと頷くネンコ。ネンコは上を向き、星空を眺めながら言った。
「また、お前と一緒に流れ星を見る」
「ネ…ネンコ!!大好きいいい!!何度でも一緒に見よう!」
小さい頃私が願った願い事なんて浅ましすぎて言えない。ネンコの純粋さに浄化されそうだ。
むぎゅうううとネンコを強く抱きしめると、ネンコはくるっと180度回転し、ちゅっと私の頬にキスをした。
きゅううううううんと胸が高鳴る。何て可愛いんだろう!本当に!
お返しにネンコの頬にキスをし返す。ネンコはくすぐったそうに身を捩った。
「あ、また流れ星」
「…」
「折角だから、願ってみる?さっきのネンコの願い、もう叶っちゃったけど」
「…」
星空を眺め、流れ星が再度流れた瞬間、願った。
「(ネンコとずっと一緒にいれますように)」
「(名前が俺の傍にずっといますように)」
願い終わり、ネンコを見る。何を願ったのか知りたかったが、それも野暮だろうと思い止めた。
「へっくしょん!」
「風邪ひくぞ」
「そうだね。そろそろ窓閉めようか」
「…」
ネンコは頷き、窓を閉めてくれた。
風呂上がりに窓からの風邪は結構体を冷やしたようで、少し寒くなってきたので何か温かいものでも飲もうか。と言うと、ネンコが私の腕からジャンピングし、置いてあったココア(一回ずつ小分けされている物)とマグカップを小さい体で持ち上げて、ケトルからお湯を出してココアを淹れてくれた。
ああもう!お父さんお母さん貴方達の娘であるわたくし名前は朝から晩まで幸せです!
ネンコの淹れてくれた、ちょっとお湯の入れ過ぎて薄いココアを飲みながら、幸せをかみしめた。
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桜華様に捧げます!
ちょっと補足です。
ネンコの願いはとにかく夢主のそばにいれればいいので、どこに行こうとどうでもいいのです。とにかく、一緒にいたいというわけです!
夢主の小さいころの流れ星の願いはしょうもないことだと思ってください。ちなみに私は本物のピカチュウが欲しいと必死で願ったことがあります。ちなみに叶いませんでした!
8888HITリクエストありがとうございました!これからもがんばりますね!