@cpサス水

「ん‥」

鳥の鳴き声で目が覚めるとか
そんな清々しい感じ久しぶりじゃない?
なんてことを思いながら少し開いたカーテンの隙間から空を見た。
あー、良い天気。
サスケなんて散歩日和だとか言いながら歩いちゃうんじゃないの。

(ん‥?あれ、サスケは…?)

昨日いつも通りいちゃついて(度の越えた)それから…?

それから…

たしか気を失ったのかなボクは。

「‥サ、スケ…?」

ん?

右手が重い。

ちら、と見ると

あ…、手。

首も動かして右側を見た。

(…あ、近…)

すぐ横に彼。

ちょっと安心した。


手、いつからだろ
ずっと握っててくれたのかな。


なんだか嬉しい。

きゅっと握ってサスケに寄った。

「……」

規則正しい寝息。
良く寝てるなぁ…。


そっと起こさないように顔を近づけてみた。

(…起きない、よね?)


よーし、なんて良く分からない気合いを入れて



「……、」




彼の唇を食むように口付けてみた。


「ん……、」

「っ……」

わっ…、起きたのかと思った

彼はまだ規則正しい寝息を立ててる。と思う。

そう自己暗示しながらドキドキと煩い鼓動を落ち着かせようとした。

「…な、んだこれ、普通にするより緊張した…」


まだ寝てる彼に擦り寄ってまた目を閉じた。

(あー恥ずかしいっ、寝ててよねっ、…ボクも二度寝しよ)


…君の傍って落ち着く。



意識はすぐに落ちた。




――――――――――――
―――――――――

―――――…‥

――…‥・




「まったく…」

水月が二度寝を決め込み寝付いた頃ぱちりと目を開けたサスケ。

「何可愛いことしてんだお前」

「…………」

声を潜めて話し掛けても返ってくるのは気持ち良さそうな寝息。

「大人ぶってる割りには寝顔は幼ぇな」

ぎゅっと握りしめられた手を握り返して顔にかかった髪を避けてやる。
何にせよ可愛いことに変わりない。

髪に触れると柔らかい。
撫でてやったからか気持ち良さそうな顔をした。

(まあ二度寝は気持ち良いからな‥)

それとも髪を撫でてやったからかな。

「ん‥」

起きたか、と思いながらも気にせず髪を撫で続ける。
「……サスケ」

「?」

「…………」

「寝言か」

すぅすぅなんて気持ち良さそうな寝息。

それでも寝言で自分の名前を呼ばれたことは嬉しい。
これが兄の名前なんて呼ばれた時には無理矢理でも起こして問いただしてしまうかもしれない。

(‥妬いてなんかねぇよ)

苦しい言い訳だが
認めない。


「んむぅ‥」

むにゅ、と空いた手で両頬を挟んだ。

「フッ‥」

悪戯が成功したのに満足し、前髪を捲って口付ける。

「…‥眠、い」

「寝てるだろ」

「…………」

どんな寝言だよ。
言うだけ言ってまた気持ち良さそうな寝息をたてる。

また髪に触れて撫でる。
嬉しそうに笑ったような寝顔。

「撫でられるの好きか?水月‥」

「…………」

返事は無いだろうと分かって問い掛けた。
その代わり返ってくるのは寝息と幸せそうな寝顔。
頬を撫でるとさらさらした肌が気持ち良い。


「…すけ………」

「‥ん?」

「…………すき」

「………フッ…」

それだけ言ってまたすうすうなんて規則正しい呼吸。

「起きてんのか?」

「‥起きてない」

「起きてんじゃねーか」

「いたっ」

撫でる手を止めてぽすんと頭に手を乗せると痛いなんて大袈裟に反応した。

「いつから起きてた?」

「頬っぺた撫でてくれたくらい」

‥じゃあその前は本当に寝言だったのか。

「寝たフリとかお前な」

「サスケだってずるい、狸寝入りなんてしてさ」

「起きるか迷った末の選択だな」

結果正解だったしな。
なんてちょっと勝ち誇って言ってみたり。

八重歯を覗かせてむすっとした彼。


「…‥怒るなよ」

機嫌直せ、なんて抱きしめてやるとくすくす笑う。
そのまま俺の腰に手を回してきた。

「ふふ、サスケ知ってる?」

「?」

「こういうのバカップルって言うんだって」

「バカとはなんだよ、失礼な」

「違うよ、ボクたちみたいなのをそう言うんだってさ」

楽しそうに言いながら擦りよってきた。

(可愛い奴‥)

ぎゅーと抱きついてくるから撫でてやったらまたくすくすと笑った。

「ボクは嫌じゃないなぁ、君となら」

そんな呼ばれ方も。


「バカップルとかパイナップルみたいだな」

「ぷ、なにそれサスケの突拍子もない発言可愛い」

可愛い、て
お前の方が可愛い。

‥てのは恥ずかしくて言えなかったが
代わりに抱きしめて背中を撫でる。

(バカップル‥聞いたことはあるな)


「ねぇサスケは?」

「‥ああ、好きだ」

「んふふ、ありがとっ、でもねそうじゃなくて‥ボクとバカップルって言われるの、嫌?」

好きかどうか聞かれたのかと思った。なんだそっちか

「サスケ‥」

「嫌じゃない」

お前となら。

そう言ってまた撫でる。

しっかり目を見て真っ直ぐ言ったからなのか恥ずかしそうに視線を泳がせた。

…………なんとなく意味が分かった。


ふと思うとかなり恥ずかしい台詞を吐いた気がする。


バカップルか…

「フッ‥照れてんのか」

「ぅーるさいなぁ‥」

サスケが真面目な顔してそんなこと言うから‥
なんてそんなことを言う。

(悪くないな)

鼻先に口付けると少し物足りなさそうにして
もぞもぞ腕の中で動くから動きやすいように緩めてやると上目遣いをするように俺を見つめる。

「なんだよ‥」

でもこいつ、上目遣いとか無自覚なんだよ
多分首を動かすのもちょっとめんどくさい何てときにもやる。

(‥まあこれは、どうだろうな)

「なんで鼻先なの」

「仕方無いな‥」

ねだられるままに唇にした。

触れてやると満足したのか嬉しそうにまた抱きついて笑う。

「他の奴とバカップルなんて呼ばれても嬉しくもなんともないんだけどね、むしろ気持ちわるい」

「それ以前に他の奴となんて俺が許すと思ってんのかよ」

「へっ、サスケって以外と独占欲強いよね」

「嫌か?」

「ううん、好き」

お前も強いだろ、独占欲。

そう返せば、まぁね、なんていたずらに笑う。


歯の浮くような甘い台詞もこいつになら言っても良いな



バカップル、なんだろ?





気に入ったから新しい新出単語として覚えておくことにした。




-終-


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