@水月受け


「やっ…ん、んぁっ」

ぐちぐちと耳障りな音が聞こえる。

一定なスピードじゃないそれはぐるぐるぐるぐる
体の中で這いずり回るような

「あっ…あーっ…!」

薬が体に回ったんだ
震える身体は快感に悶えて
抑えきれない声は溜め息と一緒に零れた。


「あぁっ‥あッ、や‥っ」

抜き差しを繰り返すそれは勝手に速度を変えてナカを玩ぶ。

「ぁっ…んぁあ、あ‥っ、あっ‥っあ、あッ…ん!!」


艶のある声、とか言うんだろうか
もう下半身はどろどろだし、中もなんだかわからない。

大きい奴を突っ込まれた始めは泣きわめいたり痛みに身体が強張ったりしてたけど

ちょうど良い…て言ったら変な話。

まあ普通くらいのを突っ込まれた今は痛くはない。
両足の腿をぎゅっと寄せて身体を震わせるだけ。


「んぁあっ…!!」

何度目の射精になるのか

それもそろそろ薄くなってきたんじゃないかな、なんてまだ冷静な脳みそは告げたり。

「くっ…ぅ、ん‥っ」


ああ、あんのクソ野郎
放置してどこに行ったんだ
早くこれを取ってよ

て言うか腕の戒めさえほどいてくれれば自分で取るから

「!いっ…や、ぁ、あっ‥っ」

なんて悪口が聞こえたのかぐりんと角度を変えたそれ。


「っは…っ、あぁっ、う…ッ、ん」

誰かに見られるには恥ずかしすぎる格好。

だって仰向けで寝台の上に後ろで両手を縛られて足はぱかっと開いて中の玩具が見えるようにされて寝台の金具に引っ掛けられるように拘束されてるし。

そうした張本人はどっか行って帰ってこない。いい加減にしてくれ。

「あっ…ん、‥んんっ、ん‥ッ‥っ」

あ‥、誰か入ってきた。

やっと戻ってきたの?早く外してよコレ。

「んーっ…んあっ…ふ、‥んん…?」

なに、躊躇ってるの
自分でしたくせに。

緊張した感じのそいつのいるだろう方向に言うことを利かない身体に意識を集中させて眉を寄せながら蜜の声を混じらせて口を開けた。

「ちょ…、と…、なに、してんのさ…!も、う、十分いたぶったろ!?早く、外し‥てよ、!‥っぁ、あっ、やぁっあ‥っ」


ボクは気付かなかった。
だってここに来るのなんてあいつしかいないし
普段は鍵なんてかけてくはずだったから…

「んっ…?…っあれ?きみ…っ」


灯りの届くところまで来たそいつはこれの張本人ではなくて


「や‥っ、ちょっ‥、見ないで!早、く出てよ‥っ」

頭の中が真っ白になった

こんな姿、見られたくなかったから

「やだ‥っ」

たしか

うちは さすけ‥

大蛇丸のお気に入り。


「…誰が、こんな?」


…綺麗な声。

「あいつ、しかいないだろっ…」

彼にはどんな風に映ってるんだろう。

ああやだやだ
考えただけでゾッとする。

汚いものを見るような目をしてるに違いない。


「カブトはしばらく戻らない、大蛇丸と出ていったからな」

「はぁっ…!?」

信じらんない
本当に放置プレイじゃん

ふざけんなあの変態

「っあ!あぁっ…、もッ…」

勘弁してよ…


胸が上下に動くのが分かるくらい酷い呼吸の仕方。


「い、つまで見てんの…、軽蔑された目で見られるのは結構。はやく、いって…っ」

「お前、好きでされてるのか?」

「なわけないだろ!?何考えてんのッ」

ハッ倒すよ君!?
どんなドM思考だよボク


「…なら、良かった」

…は、何が?
何言ってんの

「助けてやろうか」

「へ…?」

ああだいぶかさかさ。
泣きすぎた目元は乾いたのと乾いてない皮膚が混ざった感じでちょっと痛い。

…て言うか何?何言ったの

助ける?
誰を、ボクをか?

「うそ、だね…っんあッ…く、ぅ」

できるだけ声を出さないように歯を食い縛る。

「ならずっとこのままがいいか?」

「や…だ…っ」

「……」

かしゃん。

「っ…?」

足枷が外れた。

「お前がこの状況を楽しんでたらさっき言ってたように軽蔑したかもしれない」

「誰が楽しむか!どんだけ変態扱いして‥あっ…ん‥っ、あ!だめ‥触るの、今はっ…!」

「薬か?」

そう…っ

うんうんと頷くとそうか、と呟いて

また

かしゃん…

腕が自由になった。

「はぁ…、…は」

‥ホントに助けてくれんだ

「‥どうする、これ」

「ひっ…、やッ」

くん、と引っ張られた玩具に身体がひくつく。

「んっ…じ、ぶんで、外す…よ…」

そこはさすがに他人に触れられて心が許すもんじゃない

「…、出来るのか?」

「っん、んんっ…ふぁ…ッ」

力が入らない。
引っ張ってもそこを無意識に締めちゃうし取れないし悪循環。

ぽたぽた涙が零れる。

「ぅ…っ、う」

「‥おい」

ちょっと息止めてろ。


「は…?んっんぁあッ!!」

「っ…」

「ああっやッ、うぅッ…、あーッ、あッ」

「チッ…息、するなって言ったろ!この…」


…え?


「ンっ…、んんっ!」

水音、びくびく身体が跳ねる中
気を紛らわすようにされてるこれは…

え、キス、て、やつ…?

「はあっ…ぁ…っ」

あったものを抜かれた変な感覚に無意識に腰を揺らした。

「ん…っ」

涙の痕を舐められて、
目元、頬、顎に滑る。

「や…っ、なにすん、の‥」

くすぐったい。

首を竦めて逃れようとしても追いかけるように続ける。

「ねぇ、ちょ…んんっ!」

首に滑って…

…胸に。

「はぁっあ、っあ…っ」

飾りを舐められて声が漏れる。

「きみも、‥あいつと一緒、なの‥?」

「…」

震える声で聞いたら、そっと離れた

「……違う。」

「っは…っ、?」

人肌。

なんで、抱きしめるの…?


「…いつか本当に助けてやる」


「…?」

それまで、

待ってろ。


「……」

……分かった。


なんで頷いたんだろう。



それからボクは

君との約束なんて信じて

何日も待ったりしてるから
笑えるよね。




―――――水月、お前をここから

――――――出してやる。



ちょっと大人びた君がまたボクの前に現れるなんて。



「……ホントに来た」

「……」


人を信じてみるのも悪くないな、なんて思ったり。


ああそうだ

あの日の行動の意味を
今度聞いてみようかな。



「…ねえ、サスケ。」





-終-
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